坐骨神経痛が起こるメカニズムとは?

2017/12/7 記事改定日: 2019/4/25
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

特に中高年の方に多いといわれる「坐骨神経痛」。発症すると足に痛みが走り、歩くたびに苦痛を伴う辛い症状が特徴ですが、この坐骨神経痛の原因はいったい何でしょうか?
この記事では、坐骨神経痛発症のメカニズムについて解説していきます。

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坐骨神経痛発症のメカニズムについて

坐骨神経とは、腰から膝・つま先の辺りまで伸びる人体のなかでも、もっとも太くて長い末梢神経です。そこが圧迫されるなどの刺激を受け、痛みが生じるのを坐骨神経痛といいます。

比較的若い方であれば腰椎椎間板ヘルニア(椎間板が断裂し、腰付近の痛みや下肢のしびれが現れる症状)が、中年以降の方であれば腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう:脊柱管が狭くなったことで神経が圧迫され、血流が悪くなる症状)が原因となることが多いです。

腰部椎間板ヘルニア

まず、腰椎椎間板ヘルニアによって坐骨神経痛を発症する場合のメカニズムについて説明します。

そもそも背骨は椎体という骨で構成されていますが、その間でクッションの働きをする軟骨が椎間板です。そして椎間板の中にはゼリー状の髄核という組織があるのですが、この髄核が何らかの理由で押し出され(これが腰椎椎間板ヘルニアの状態です)、坐骨神経が圧迫されたとき、痛みやしびれが現れるようになります。

腰椎椎間板ヘルニアは、中腰や前かがみなどの姿勢を長時間続けたりしていると発症リスクが上がります。また、体質や骨の形といった遺伝要因、そして加齢によって発症することもあるので注意が必要です。

腰部脊柱管狭窄症

次に、腰部脊柱管狭窄症によって坐骨神経痛を発症する場合のメカニズムについて解説します。

背骨には体を支えるだけでなく脳から伸びた神経を守る役割もあるのですが、この神経の通り道である脊柱管が狭くなったことで、神経が圧迫され、坐骨神経痛を発症することがあります。腰部脊柱管狭窄症の主な原因は、加齢に伴う脊柱管の老化です。

ヘルニアや狭窄症以外の原因はあるの?

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症以外にも坐骨神経痛の原因として以下のような疾患が挙げられます。

  • 変形性腰椎症
  • 腰椎分離症
  • 腰椎すべり症
  • 梨状筋症候群
  • 脊髄腫瘍
  • 帯状疱疹
  • 糖尿病

いずれも、脊椎の変形などによって坐骨神経を圧迫することや、坐骨神経自体ダメージが生じる病気が原因となります。
また、その他にも妊娠や肥満による体形の変化や外傷などが原因になることも少なくありません。

坐骨神経痛はどうやって治していくの?

坐骨神経痛の痛みを和らげるための治療法としては、薬物療法や神経ブロック注射、マッサージなどがあります。あとはストレッチをしたり、姿勢に気をつけたりと日頃の生活習慣の改善をしながら少しずつ原因を解消していきます。治療により改善が見られない場合は、手術により痛みを取り除く外科的療法もあります。

おわりに:姿勢や生活習慣に気をつけ、坐骨神経痛を未然に防ごう

坐骨神経痛は、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが原因で発症することが多いとされています。坐骨神経痛の発症を未然に防ぐために、日頃から姿勢に気をつけたり、適度に運動したりといった対策を行うことをおすすめします。

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