記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/31 記事改定日: 2019/11/25
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
通勤や通学中の音楽やゲームのために、イヤホンを使っている人は多いでしょう。ただ、イヤホンを多用する人は「音響外傷」に注意が必要です。
この記事では、音響外傷の症状や原因、治療法について解説していきます。
音響外傷とは、非常に大きな音を聞くことで、一時的に難聴になってしまう病気です。
おもな原因としては、ロックコンサートやヘッドホンで音楽を聴き続けるといったことなどが挙げられ、大きな音を聞くのがたとえ短時間だとしても発症することがあります。
難聴と聞くと「高齢者の病気」というイメージがあるかもしれませんが、最近は、スマートフォンの動画やゲームでヘッドホンやイヤホンを使用することも多いことから、若者だけでなく子供が発症することもめずらしくありません。
音響外傷は突発的に大きな音を聞くことによって急激に発症する「急性音響外傷」と絶えず大きな騒音などを聞き続けることによって徐々に症状が現れる「慢性音響外傷」があります。
急性音響外傷の場合は、大きな音を聞いた後に聴力の低下、耳鳴り、めまいやふらつきなどの症状が現れます。一般的には発症後しばらく経つと自然に症状が改善していくとされていますが、聴力の異常などが長引くこともあります。
慢性音響外傷は、徐々に聴力の低下などが引き起こされ、慢性的なめまいやふらつきなどの症状が生じるようになります。症状は少しずつ進行するため、発症に気づかない方も多く、発症に気づいた段階では治療が難しいことも多いとされています。
音響外傷は、短時間で非常に大きな音を聞いたことで、音を感じ取るための細胞がダメージを受けることで発症すると考えられています。
通常この細胞はきれいに並んでいますが、大音量を聞くとなぎ倒されたような形状に変化します。
また、先述のとおりヘッドホンやイヤホンを使ったときに発症することもありますが、ヘッこれは耳の近くで音を聞き続けることが、細胞へダメージを与えると考えられるでしょう。
また、外で音楽を聴いているときは、周囲の音がうるさいので音量を上げてしまいがちになることも、音響外傷を誘発してしまう原因になります。
音響外傷のうち、急性音響外傷はステロイド薬、ビタミン剤、代謝促進剤などを用いた薬物療法が行われます。「突発性難聴」と同様の薬物治療が行われますが、治療効果は人によって異なり、原因となる音が大きいほど症状が残りやすいと考えられています。
一方、慢性音響外傷は確立した治療法がなく、一度症状が進んでしまうと完全に元の状態に戻るのは難しいでしょう。補聴器などを用いた訓練を行いながら、日常生活に支障を来さないようにリハビリを行っていくこととなります。
「難聴=高齢者がなる」イメージがあるかもしれませんが、イヤホンを多用する現代では、若い方でも音響外傷によって難聴になってしまう可能性があります。イヤホンを使う人は音量に注意し、気になる症状があるときはきちんと耳を休めましょう。