糖原病はどんな病気なの? 原因は遺伝子異常って本当?

2017/10/31

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「糖原病」という病気をご存知でしょうか。肝腫大や筋肉の萎縮など、さまざまな身体症状を引き起こす国の指定難病の一種です。以降で詳しい症状や原因、治療法などを解説していきます。

糖原病について

そもそも「糖原」とは、グリコーゲンともよばれる糖質のもととなる高分子体です。本来体の中に入ったグリコーゲンは分解、代謝されていくものですが、分解酵素の異常によりグリコーゲンが分解されず、肝臓などに蓄積されてしまう状態を、糖原病といいます。グリコーゲンは肝臓の他に筋肉に蓄積される場合もあり、それぞれ「筋型糖原病」「肝型糖原病」と区別されて、難病に指定されています。

現在日本では両方の型を合わせて6000人ほどの罹患者がいるとされています。先天的な遺伝子異常によるものなので幼少期から発症することもあり、中には奇形や障害の原因となるケースも報告されています。今後の研究が待たれる症例の一つでもあります。

何が原因で発症する?

糖原病の原因は、遺伝子の先天的な異常(常染色体劣性遺伝)です。常染色体劣性遺伝とは、因子を持っている両親から子どもへと病気の原因遺伝子が伝わっていくというもので、男女ともに発症する可能性を持っています。

人の遺伝情報の中には、糖質であるグリコーゲンを分解するための酵素を作るたんぱく質の型が存在しています。糖原病の人はこのたんぱく質の型に異常が生じているのです。そのため、分解酵素が作られない、あるいは働きが阻害されることにより、体の中にグリコーゲンが溜まっていってしまって症状があらわれます。

なお、糖原病には肝型、筋型以外にも細かな分類があります。そしてその一つひとつの型によって、原因となるたんぱく質の異常も異なっているのです。

糖原病になると、体にどんな変化が起きるの?

先述のとおり、糖原病は、代謝されないグリコーゲンが筋肉に溜まる場合と肝臓に溜まる場合の2種類がありますが、それぞれ症状が異なります。

筋肉に蓄積される筋型糖原病の場合は、慢性的な筋肉痛、心筋の異常、筋肉の硬化、筋力の低下、筋肉の萎縮など、主に運動障害としてあらわれます。その他、筋肉組織の中で壊死したたんぱく質が尿として排出される、ミオグロビン尿症が見られる場合もあり、腎臓病を併発することもあるのです。

一方の肝型の場合は、低血糖や肝腫大が主な症状で、人によっては黄疸があらわれたり、不整脈やてんかんの原因になることもあります。病状は重く、生活に支障をきたすこともあります。

糖原病は治療できるの?

糖原病は難病であり、現段階では根源的な治療法はまだ見つかっていません。基本的には薬物療法が行われますが、家庭で個人が取り組める方法としては、食事療法と運動に気を付けることが大切です。

まず肝型糖原病の方の場合、防がなくてはならない症状は低血糖です。そのため、治療用の特殊なミルクを用いて効率よく糖質を補います。その他には、食事の回数を増やすことによって、血糖値が急に下がるのを予防します。

筋型糖原病の方は、筋萎縮や心筋の異常が見られる場合、激しい運動をさけて体への負担を減らします。場合によっては心移植が行われることもあります。逆に筋力低下があらわれている方は、バランスよく運動を取り入れることで、失われる筋力を補うことが治療の目標となります。

おわりに:糖原病のタイプによって適切なケア方法は異なる

現段階では根治的な治療法は見つかっていない糖原病。ただ、薬物療法だけでなく、食事療法や運動などのセルフケアによって、一定程度症状の緩和が見込めることもあります。肝型か筋型によって適切なケア方法は異なるので、タイプに沿った適切な治療を進めていきましょう。

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