神経痛を引き起こす原因には、どんなものがあるの?

2017/12/8 記事改定日: 2019/4/24
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ぴりぴりとしびれるような痛みを引き起こす「神経痛」。神経痛にはさまざまな種類がありますが、この神経痛を引き起こす原因としてはどんなものが考えられるでしょうか?病気の可能性もあるのでしょうか。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

神経と神経痛

神経系には「中枢神経」と「末梢神経」の2つがあり、後者の末梢神経には、体温や血圧、臓器の働きを調整する「自律神経」、全身の筋肉を動かす「運動神経」、痛みや感触を中枢神経に伝達する「感覚神経」があります。神経痛とは、この「感覚神経」が刺激を受けたことで発生する、末梢神経の経路に沿って生じる痛みやしびれのことです。突発的に激痛が現れ、何度も痛みを繰り返すのが特徴です。

代表的な神経痛の例としては、目や顎、頬などにしびれるような痛みを生じる「三叉神経痛」、肋骨に沿って激しい痛みが起こる「肋間神経痛」、お尻や太もも、ふくらはぎ、足の裏などに痛みを生じる「坐骨神経痛」があります。

日常生活にひそむ神経痛の原因とは?

神経痛を引き起こす原因として、まず日常生活上の問題が考えられます。
主なものとして挙げられるのは、長時間のデスクワークです。腰を曲げた状態で過ごす時間が長いと、椎間板がはみだし、末梢神経の根元を圧迫することで神経痛を引き起こすことがあります。
これにストレスや冷えが加わると、さらに痛みが悪化する可能性があるので注意が必要です。

なお、加齢も神経痛の発症リスクを上げる要因のひとつとされています。老化に伴う腰部の脊柱管の変形によって、末梢神経が圧迫されてしまうことがあるからです。

神経痛の原因になる病気は?

病気によって神経痛が引き起こされることもあります。具体的な病気の詳細については、以下をご参照ください。

腰椎椎間板ヘルニア

背骨と背骨をつなぐ軟骨である椎間板が断裂を起こすことで、椎間板組織の一部が飛び出し、神経を圧迫することで起こるのが腰椎椎間板ヘルニアです。「坐骨神経痛」を引き起こす主要因であり、下肢の痛みやしびれを引き起こし、ひどいときには歩行困難になることもあります。
若い人の発症率が高い疾患ですが、高齢者も発症することがあります。

脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)

長期間にわたる腰への負担や加齢によって脊柱管が狭くなり、神経を圧迫してしまう疾患です。安静時の痛みは少ないですが、歩いているうちに下肢にしびれや痛みが出てくるのが特徴です。

帯状疱疹

幼少期に水ぼうそうにかかったことで体内に潜伏している水痘帯状疱疹ウイルスが、体内で再活性化することで起こるのが帯状疱疹です。痛みをともなう水疱が皮膚に現れるのが特徴ですが、症状が長引いたときなどに神経細胞が傷つけられたことが原因で、後遺症としてピリピリとした神経痛が残ることがあります。

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)

手の関節にある「手根管」の中の正中神経が圧迫を受け続けることで、親指から薬指にかけて痛みやしびれがあらわれる疾患です。PC業務などで多くタイピングをする人は発症率が高いです。

糖尿病で神経痛になることがあるの?

糖尿病は全身に様々な合併症を引き起こします。その中のひとつとして、末梢神経障害を生じることがあります。一般的には末梢神経がダメージを受けることで感覚の低下や筋力低下などが引き起こされますが、痛みを伴うしびれが生じることも少なくありません。

糖尿病を罹患している人で、手足のピリピリしたしびれを伴う痛みがある場合は放置せずに病院で相談するようにしましょう。

おわりに:神経痛を引き起こす原因は多岐にわたる。診察の際に症状をしっかり伝えよう

長時間のデスクワークなど日常的な習慣だけでなく、腰椎椎間板ヘルニアなど特定の病気によって神経痛が引き起こされることがあります。症状が出ている部位によっても考えられる原因は異なってくるので、病院での診察の際に、病状を正確に医師に伝えましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

デスクワーク(10) 加齢(29) 坐骨神経痛(15) 帯状疱疹(32) 三叉神経痛(9) 手根管症候群(7) 腰椎椎間板ヘルニア(8) 肋間神経痛(7) 脊柱管狭窄症(8) 神経痛(7)