漏斗胸とはどんな状態のこと? 放置してもいいの?

2017/10/31

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

漏斗胸はそれ自体が重篤な症状を引き起こすわけではありませんが、見た目のコンプレックスから日常生活や学業に影響が出るケースがあります。この記事では漏斗胸の原因や治療などの基礎知識の解説をしています。

漏斗胸とは

漏斗胸とは、胸の中央部が漏斗(ろうと)状に凹んでいる状態のことをいいます。凹みの状態は人によって異なり、深い、浅い、左右の形が違うなどさまざまです。幼児のころに咳などの症状をともなうことがありますが、命にかかわるというものではありません。

1000人に2~7人程度の割合で発症し、男子に多く女子の約3倍あるといわれています。肋骨や胸骨(胸の中心の骨)と肋軟骨(肋骨と胸骨をつなぐ骨)の成長のズレ、肋軟骨の変形、遺伝によるものなど、原因としてさまざまなものが挙げられていますが、完全にはわかっていません。生まれたときからある場合、成長するにしたがって凹みが現れる場合があり、全体の7割ほどは小児期に発症します。一般的に自然に改善することはなく、成長とともに目立ち始め変形することも多くあります。

漏斗胸の症状

幼少時に多い症状として、風邪の咳が長引く、それがもとになって気管支炎や肺炎、気管支喘息のような症状を引き起こすことがあります。また、食の細さや食後のおう吐がある場合もあります。学童期には、疲れやすい、運動についていけないなどのほか、症状をからかわれるなどして心に問題を抱えることがあります。こうしたコンプレックスは将来に大きな影を落とすこともあるため軽視はできません。

また思春期以降には、ほとんどの人が猫背になるといわれています。長く運動できない、疲れやすいなどに加え、胸の痛みを訴える人いて、学業や仕事に支障をきたすほどの圧迫感に苦しむこともあるようです。その他、肺炎や気管支炎、気管支喘息、消化器系の症状などとの関係も指摘されています。

自然治癒するの?

漏斗胸でも3歳ころまでに自然に治ってしまうことがあります。基本的には治療の必要はないとされていますが、6歳を超えると自然治癒の可能性はほとんどなく、成長にともない少しずつ凹みは大きくなっていきます。

乳幼児では呼吸による「疑似漏斗胸」もあるため3歳ころまではゆっくりと経過をみて、その後改善が見られないようであれば一度医師に相談することをおすすめします。変形が進むと圧迫から肺活量や気管、気管支などに影響が出たり、心臓の働きを少なくしたり不整脈を起こすことがまれにあります。

成人になって目立たなくなる人もいますが、皮下脂肪で隠されただけで骨の変形はそのままです。大人になって変形自体が自然に改善するということはまずありません。

治療方法について

治療方法は重症度によって変わるので、治療前には凹みの深さや心肺への影響度合いなどの精密検査を受ける必要があります。
軽い場合には、漏斗胸体操などのエクササイズである程度改善することもありますし、矯正具の装着なども提案されるでしょう。重症であったり、見た目のコンプレックスが大きく日常生活や学業などに影響すると判断された場合は手術が検討されます。

手術は主に美容や精神的な面を重視したものと、呼吸や循環に影響する高度なものがあり、方法は大きく3種類あります。最近ではNuss法(ナス法:胸腔鏡補助下胸骨拳上術)という、金属のバーを胸に挿入して凹んだ骨を持ち上げ矯正する手術が行われるようになりました。

おわりに:漏斗胸は将来コンプレックスにつながる可能性も。治療のタイミングは医師と相談しながら慎重に

漏斗胸は命に関わるような症状につながるわけではありませんが、見た目などのコンプレックスが原因で日常生活や学業に影響する場合があります。自然治癒するケースもあり、重症度などで治療方法も変わってくるので、治療のタイミングや治療方法については医師と相談しながら慎重に決めるようにしてください。

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