漏斗胸の手術治療と合併症について

2017/10/31

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

胸が凹んでしまう漏斗胸は幼児に発覚するケースが多く、重篤な症状が出ないといわれていますが見た目などの問題から学業や日常生活、社会生活に支障をきたすことも少なくありません。重度の場合は手術が提案されることもありますが、漏斗胸の手術とはどういったものなのでしょうか?

漏斗胸の症状と問題点

胸の中央部が漏斗(ろうと)状に凹む「漏斗胸」は、凹みによって肺や心臓が圧迫され、気管支炎や肺炎、気管支喘息(喘息)のような症状を起こしたり、食欲不振やおう吐、疲れやすさや長時間運動できないなどの問題を引き起こすことがあります。またその外形がコンプレックスとなって精神的なダメージを受けてしまう場合や、成長過程で猫背で姿勢が悪くなってしまうこともあります。

乳幼児期に見つかることが多く、3歳までは自然治癒する可能性がありますが6歳を超えるとその可能性はほとんどなくなり、成長にしたがって凹みは大きくなります。成人して目立たなくなるケースもありますがそれは皮下脂肪などによるものであり、検査でしてみると大きく変形した漏斗胸が発見されることもあります。

漏斗胸の手術治療の方法とは

凹みの強い人には事前の精密検査と手術が必要となります。
手術は大きく3つの種類があり、それぞれ工夫されています。最近ではNuss手術が広く行われるようになっているようです。Nuss手術とは凹んだ胸骨の裏側に金属製のバーを入れ胸骨を押し出して矯正し、3年ほど胸骨の位置を固定してバーを抜き取るという方法で、短時間で出血量が少なく大きな傷も残りにくいといわれています。

手術は一般に3歳以降に行われますが、低年齢の場合は骨が小さく柔らいことや、成長過程での再発や心理的負担などの問題も指摘されているため手術のタイミングは慎重に決める必要があるでしょう。一方で中高生以上の手術では骨の硬さや変形、術後の回復時間、学業や仕事への支障という問題も出てきます。そのため、10歳前後の手術を提案されるケースが多いようです。

合併症はあるの?

手術中に心臓や大きな血管を損傷することによる出血性ショックや肺の損傷などを起こるケースがまれにあります。

術後の合併症としては、例えばNuss手術ではバーの挿入により細菌が体内に入り発熱する「感染」、もとに戻ろうとする胸骨の力による「バーのずれ」、肺の損傷などにより胸の中に空気が溜まる「気胸」、手術の出血で胸に血が溜まり肺を圧迫する「血胸」、傷の周りが出血によって腫れる「皮下出血」、術後に大きく呼吸しにくくなることから起こる「無気肺、肺炎(細菌感染)」があります。
これらはいずれも対応可能とされていますが、特に「バーのずれ」が起きた場合には再手術による再固定、「無気肺、肺炎」には呼吸のリハビリが必要とされています。

手術以外の治療法について

手術以外の治療法として、まず「運動」があります。水泳などで肺活量を増やし胸筋をきたえ、胸の形の改善をはかるものです。軽いものならある程度の効果が期待できます。

その他には、凹んだ胸に大きな吸盤をつけて吸引し胸を持ち上げる「陰圧吸引療法(バキュームベル、ペクタスエッグ)」方法がありますが毎日長期に渡って装置を付ける必要があります。また、猫背になっている背中を伸ばし胸を張って大きく息を吸い込む「呼吸、姿勢療法」、「漏斗胸体操」などのエクササイズなども効果が期待できるといわれています。

おわりに:漏斗胸の手術には様々な方法が。医師と相談しながら適した方法を選択しよう

漏斗胸の手術には様々な方法がありますが、現在はNuss手術が広く行われているようです。ただし、どの手術にもメリットとデメリットがあり、手術をすすめられるタイミングについても個人個人で違ってきます。
医師と相談しながら、納得のいく治療法を選択するようにしてください。

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