記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
頭蓋骨骨折が起こると頭の痛みや腫れだけでなく、嗅覚や視覚の障害や眼球運動などの後遺症が現れることもあります。この記事では頭蓋骨骨折の症状や後遺症について説明しているので、いざというときの参考にしてください。
頭蓋骨は、交通事故などによって強い衝撃を受けた時に骨折することがあります。球体で衝撃を分散する形をしていることもあって滅多に骨折はしませんが骨折の形態はさまざまです。
まず、頭蓋円蓋部骨折と、頭蓋底骨折の2つに分類され、そのうち頭蓋円蓋部骨折は線伏骨折、陥没骨折、粉砕骨折などに分けられます。頭蓋底骨折は前頭蓋底骨折、中頭蓋底骨折、後頭蓋底骨折に分けられます。
陥没骨折のように頭蓋骨を骨折で脳に損傷や圧迫の問題が起こることもあれば、粉砕骨折のように日常生活で安静にしていれば自然治癒も可能だとされている骨折もあります。頭蓋骨の骨折の場所、種類によってさまざまですが、硬膜外血腫を伴うこともあるので、十分な検査を行う必要があります。
骨折部位に鈍痛を感じることがあります。これは打撲によるもので、痛みが疼いている状態が続きます。骨折したことによって腫脹が見られることもあります。自覚症状として痛みの他にも圧迫されているような感覚に陥ることもあります。
また、外から見ていては気づきませんが、頭蓋骨内で出血が起こっていることも多々あります。出血することによって頭蓋骨に血がたまり、血腫ができてしまうことがあり、これが硬膜外血腫の原因になることも少なくありません。
場合によっては鼻や耳から髄液などの液体が漏れ出てしまうこともあります。耳の後ろや目の周囲にあざができてしまうのも頭蓋骨骨折の大きな特徴のひとつです。
単純な線状骨折の場合は自然と治っていくのを待っているのが一番であり、それが可能な骨折です。しかし、脳を大きく圧迫し損傷を与えている状態のときは症状が重く、毎日のように通院しなければならないときもあります。また、1センチメートル以上の陥没があったり、前額部など美容上問題があるなどの診断があれば陥没骨折整復術を用いた手術を行います。
もし頭蓋骨骨折をしてしまった場合には数ヶ月は安静にしておくようにしましょう。再び打撲を起こさないためにも、スポーツなどを控え経過観察を行い、異常があれば医師に相談するようにしてください。
後遺症が残る可能性のある怪我ですが、その内容や程度は人によってさまざまです。最も多いのは、嗅神経が傷つけられ、鼻に障害が残ることです。他にも、脳波異常やてんかんの発作を起こすこともあります。
骨折の部分によっては視力に障害が出ることも考えられます。視力が低下、視界が狭くなる、眼球運動に問題が生じるなどの可能性があり、最悪の場合失明する可能性もあります。とくに、子供や高齢者の場合には、同じような衝撃でも頭蓋骨骨折を生じやすく、その分後遺症の可能性も高くなる傾向があるようです。
頭蓋骨骨折による後遺症は、程度によりますが認定基準により14級から8級程度の障害認定を受けることもあります。
頭蓋骨骨折は自然治癒が可能なものもありますが、ひどいものは手術が必要だったり後遺症が残ってしまうものあります。早期の治療が重要なので、頭を打ったときは早めに病院を受診するようにしましょう。また、頭を打ったときはくれぐれも安静にするようにしてください。