先天性心疾患「ファロー四徴症」とは

2017/10/31

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ファロー四徴症は先天性心疾患の難病であり、治療の中心は手術です。心臓や血管に4つの特徴的な障害が見られます。この記事では、ファロー四徴症の特徴や症状、治療について解説していきます。

ファロー四徴症とはどんな病気か?

ファロー四徴症とは、難病に指定されている先天性心疾患であり、以下の4つの特徴があります。

心室中隔欠損
右心室と左心室の間の壁に穴が開いている
肺動脈狭窄
肺への血液を送る肺動脈に通じる、右心室からの通路が狭くなっている
大動脈騎乗
本来左心室から出ているはずである、全身へ血液を送る大動脈が右心室と左心室の両方にまたがっている
右心室肥大
通常なら薄い右心室の壁が分厚くなっている

心臓に問題がなければ、酸素をあまり含まない静脈血は肺動脈に流れていきます。しかし、ファロー四徴症の場合は、静脈血が大動脈に流れ込んで全身に回りやすくなってしまうために、チアノーゼ(低酸素状態)が起こります。たいていは生後間もないうちにチアノーゼや心雑音によって判明し、成人するまでに気付かないケースはまれです。

原因は?遺伝は関係あるの?

ファロー四徴症は生まれつきの疾患です。発生には様々な要因が考えられますが、原因のひとつに、胎児期の心臓がつくられるときに発生する異常が挙げられます。大動脈と肺動脈のしきりと、右心室と左心室の間の壁がねじれるために心室の間の壁に穴ができることで、心室中隔欠損などの4つの特徴が生じます。また、心臓が形作られるときに、神経堤細胞が適切な場所に移動できないために起こるともいわれます。

ファロー四徴症の発症は不規則で散在的だとされ、関連する遺伝子はひとつではなく多因子遺伝であるとも言われています。親がファロー四徴症である場合、その子供の心疾患の発生率は約3%です。なお、第一子に先天性心疾患がある場合、次に生まれる子の再発率は2~5%になるとされます。

ファロー四徴症の症状について

ファロー四徴症の症状の特徴は、チアノーゼが見られることです。チアノーゼとは、酸素が不足した血液が巡ることによって全身の血中酸素濃度が低下し、皮膚や唇、爪などが青紫色になる状態です。乳幼児期には、以下のような場合によくチアノーゼが見られます。

  • 激しく泣いた後
  • 走ったり歩いたりした後
  • よく寝た後
  • 入浴時
  • 排便時(いきんだとき)

チアノーゼと呼吸困難が強くなる「無酸素発作」やけいれんを起こすこともあり、長時間続くと死亡するケースもあるため、注意が必要です。3歳頃には無酸素発作の頻度は減るものの、「蹲踞(そんきょ)」と呼ばれる、運動後におのずとしゃがみこむ行動が見られたり、長期のチアノーゼによって指の先が丸く太くなる「ばち指」になったりすることがあります。

治療方法

ファロー四徴症であると診断されると、基本的にはなるべく早い段階で「心内修復術」が行われます。心内修復術とは、右心室と左心室の間の壁にあいた穴をふさぎ、狭くなっている右心室から肺動脈への通路を広げる手術です。新生児や体がまだ小さい乳児などに対しては、「ブラロックトーシッヒ手術」や「BTシャント術」と呼ばれる、腕に向かう動脈を肺動脈につないで肺への血流を増加させる手術が施されることもあります。

なお、まだ手術を受けていない患者に対しては、無酸素発作を抑えるための薬が投与されます。

手術を受けて症状が改善しても、不整脈をはじめ三尖弁閉鎖不全や大動脈弁閉鎖不全、大動脈拡張、左室機能低下などが起こるリスクがあるため、術後も定期的な受診と経過観察が必要です。

おわりに:治療の基本は手術。担当医と相談しながら治療進めよう

ファロー四徴症は先天性心疾患の難病であり、治療の基本は手術です。方法は数種類あり、手術後も定期的な検査と県下観察が必要になります。子供の症状の変化に気をつけながら担当医と相談し、適した治療を受けるようにしましょう。

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