歩行障害とはどんな症状のこと?原因や治療法の種類は?

2017/10/31 記事改定日: 2020/9/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

歩行障害とは、文字通り「歩行=歩くこと」に支障が出る障害であり、さまざまなケガや病気、精神的な病が原因になります。歩行時に転倒すると大きなケガにつながることもあるので、早期に適切な治療を受ける必要があります。この記事では歩行障害の基礎知識について解説しています。サインを見逃さないための参考にしてください。

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歩行障害とはどんな症状?何が原因で歩きにくくなる?

歩行障害とは、何らかの病気や障害、後遺症などにより、歩行機能に支障が出ることです。まったく歩けなくなる状態だけでなく、足のふらつきやしびれ、痛みで思うように歩けない状態なども含まれます。

原因となる病気にもよりますが、進行すると車いす生活になる可能性もあります。また、うまく歩けないことで転倒やけがのおそれもあるため、注意が必要です。

歩行障害の症状の種類

歩行障害の自覚症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 足がふらつく
  • 歩幅が狭くなり、小刻みに歩く
  • 足がすくむ(最初の1歩がなかなか踏み出せない)
  • 歩くときに足を引きずる
  • 突進してしまう
  • 足にうまく歩けないような痛みがある
  • 足がしびれている
  • 足が上がらない
  • しばらく歩くと足が痛くなったりしびれたりし、休むと再び歩けるようになる(間欠性跛行・かんけつせいはこう)

また、歩いている間にどんどんスピードが速くなっているなど、周りの人が気付きやすい症状や、診察によって判明する症状もあります。そのため、歩行障害で受診した場合は、歩く様子を医師が観察し、歩く際の姿勢や安定性、方向転換の様子などをチェックします。

なぜ歩行障害が起こるの?脳や神経の病気が原因のことも?

歩行障害の原因には、脳や脊髄、血管の障害や、骨や筋肉の障害が考えられます。以下は、症状として歩行障害が見られる病気の一例です。

脳梗塞
脳に血栓ができ、血液が流れなくなります。脳細胞が壊死し、手足のまひや言語障害が起こるだけでなく、死に至ることも稀ではありません
パーキンソン病
中脳にある黒質の神経細胞が減少し、ドーパミンが不足することによって起こる病気です。何もしていないのに手がふるえる、小刻みに歩行する、顔がこわばるなどの症状が現れます

この他にも、脊髄小脳変性症や頚椎症、閉塞性動脈硬化症、糖尿病など、原因となる疾患は多岐に渡ります。また、身体的に異常がなくとも、精神的に負担がかかることで歩行障害が生じるケースもあります。

歩行障害の要因は様々で、自分ではまだ気づいていない病気のサインである可能性も考えられます。そのため、歩行障害と思われる症状が出た場合は速やかに病院を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。病気や障害が判明した場合はその病気に合わせた治療を行い、リハビリテーションを続けることになります。

歩行障害の治療法って?完治の可能性は?

歩行障害の症状が現れた際は主に原因となる病気の治療が行われるため、薬物療法や運動療法など、手術など治療の内容は様々です。ただし、病気によっては、完治は難しいといわれています。特にパーキンソン病の歩行障害は「難治性歩行障害」と呼ばれ、残念ながら今のところ完治は難しい状態です。

また、病気自体の治療と並行し、症状に合わせた歩行のリハビリも行います。リハビリ中は転倒や怪我のおそれもあるため、適切な介助のもと、患者それぞれの歩行レベルに適したメニューをこなすことが大切です。

なお、人にもよりますが、突然歩けなくなった場合は体だけでなく心にも大きな負担がかかっていると考えられるため、精神的なケアも必要といえるでしょう。

歩行障害のリハビリ内容

歩行障害がある人は、第一に股関節や膝、足首などの関節の動きを改善すること、足の筋力をつけること必要があります。そのためには、関節を動かして可動域を広げる訓練や足の上げ下げなど座ったままで行える訓練を実施していきます。また、足の筋肉に刺激を与えるマッサージも有用とされており、訓練と並行して行うケースが多いです。

これらの訓練を行って立つことができるようになった場合は、平行棒やT字杖、歩行器などを用いて少しずつ歩く訓練を行っていきます。

必要な装具や訓練の種類などは、麻痺がある部位やケガをした部位などによって異なりますので、医師の指示に従ってリハビリを進めていくようにしましょう。

おわりに:歩行障害の原因は多数あるため医師の指示に従い適切な治療と安全なリハビリを

歩行障害の原因や症状は多岐にわたります。歩行障害が現れると、うまく歩けないことで転倒し大きなケガにつながるケースも少なくありません。少しでも気になる症状があるときは早めに病院を受診しましょう。また、家族や友人など、周囲の人が早めに気づいてあげることも大切です。医師の指示に従いながらリハビリや訓練を続けていきましょう。

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