頸椎捻挫(むちうち症)の症状と治療法について

2017/11/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

頚椎捻挫とは、足の捻挫と同じように首をひねったことで首の関節を損傷し、痛みなどの症状が現れることです。交通事故で起こるむちうち症も頚椎捻挫の一種になります。この記事では頚椎捻挫とむちうち症の基礎知識を紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

頸椎捻挫(むちうち症)とは

首の骨を頚椎と言い、頚椎が7つ重なることで首の関節は構成されています。その首の関節を損傷し、痛みや腫れ、可動制限などの症状が起こることを頚椎捻挫と言います。捻挫というと足首を思い浮かべる人も多いでしょうが、捻挫は関節があるところであればどの部位でも起こりうるのです。

足首同様、頚椎捻挫はスポーツをしているときに発症することもありますが、最も多いとされるのは交通事故です。後ろから追突されたり、壁や車にぶつかったときの反動で頚椎捻挫は起こります。交通事故で起こる首の障害のことをむちうち症といいますが、むちうち症は診断名ではありません。むちうち症は頚椎捻挫と診断されることが多いです。

むちうち症の4つの症状

むちうち症は症状の違いにより4種類に分けることができます。

・頚椎捻挫型
7割の方は頚椎捻挫型であると言われています。痛みが強く、首の動きが制限され、頭痛を伴うこともあります。

・神経根型
神経根型は頚椎に歪みが出て神経が圧迫されるため痺れや顔面麻痺・知覚障害を伴うこともあります。

・脊髄型
脊髄が傷ついてしまう脊髄型だと手や足に痺れや痛みが起こり、排泄障害を引き起こすこともあります。

・バレ・リーウー型
バレ・リーウー型は後部交感神経症候群という名で呼ばれることもあります。自律神経が損傷するためめまいや吐き気や耳鳴り、倦怠感などの症状が起こることもあります。

頸椎捻挫の治療法

事故直後は安静を心がけることが重要です。受傷直後よりも翌日や翌々日から症状が強くなることも多いので、自己判断せず病院を受診し適切な治療をしてもらいましょう。

病院では消炎鎮痛剤の服用や低周波・温熱療法・牽引療法などの物理治療が行われます。痛みが強ければ神経ブロック注射で痛みをやわらげる治療が行われることもあります。

リハビリは必ず医師の指導のもと正しく行ってください。自己流に無理に引っ張ったり曲げたりしていては治るどころか悪化することもあります。

頸椎捻挫は完治するのか

安静にしていれば3週間ほどで完治(寛解)すると言われています。その後も痛みが続くという場合でも、適切なリハビリにより3ヶ月もあれば痛みも和らいでいくといわれています。3ヶ月を越えて症状が強くある方は、バレ・リーウー型の頚椎捻挫(むちうち症)となっている可能性が高いため、専門の治療が必要になるかもしれません。

ただし、もともと慢性的な肩こりに苦しんでいる人や加齢で筋肉が衰えている人は回復に時間がかかる可能性があります。また、完治したつもりでも肩こりなどの症状が残ってしまうことも少なくありません。可能ならば継続的にケアを続けたほうがよいでしょう。

おわりに:頚椎捻挫を治すには安静が一番。症状が残った場合は医師に相談して適切な治療をしてもらおう

一般的な頚椎捻挫(むちうち症)は、3週間ほど安静にしていれば治癒することがほとんどです。痛みや不快感、肩こりなどの症状が残ったとしても、医師の治療を続けることで改善が見込めます。首を痛めたときは自己判断でケアするのではなく、必ず病院で検査し、原因にあった治療をしていきましょう。

 

関連記事

この記事に含まれるキーワード

麻痺(27) しびれ(53) 交通事故(13) 首の痛み(8) 頸椎捻挫(2) むちうち(1) 知覚障害(1)