肥厚性瘢痕とは ~ ケガややけどなどで発症する皮膚の病気 ~

2017/12/8

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

傷口が赤みを帯びたままずっと残ってしまう、「肥厚性瘢痕」という皮膚の病変があります。この肥厚性瘢痕はなぜ発生するのでしょうか?ケロイドとの違いは何なのでしょうか?

肥厚性瘢痕とは

皮膚が傷つくと、その部分に血液中の成分であるフィブリンが集中し固まり、接着剤のように働き傷をふさぎます。その後、傷口を線維組織が補強していきますが、このときに線維組織が必要以上に作られてしまうと、盛り上がるように傷口をふさいでしまい、みみず腫れのような状態になってしまいます。
この盛り上がった状態の傷あとが肥厚性瘢痕です。肥厚性瘢痕は、治癒が遅く傷がなかなか治らないときになりやすいといわれています。赤みや茶色みを帯びていたり、白色であったり色味には個人差があります。また、引きつれで動きが制限されたり、痛みやかゆみを伴うこともありますが、無症状のものも多く、症状に悩むというよりも見た目を気にして病院を受診するケースが多いようです。

肥厚性瘢痕とケロイドとの違いは

肥厚性瘢痕もケロイドも、どちらも引きつり感があったり、痛みやかゆみ、発赤の症状が見られます。ただし、一般的には肥厚性瘢痕よりもケロイドのほうが症状が強く出る傾向があるようです。また、肥厚性瘢痕は傷が真皮中層まで及ぶなど損傷が大きくなったことや、治癒が遅れてしまうことが原因で起こるとされていますが、ケロイドの発生原因はよくわかっておらず、真皮表層までの損傷でも発症することがあるといわれています。

肥厚性瘢痕は傷口の範囲を越えて拡がることはありませんが、ケロイドは傷口から染み出すように周辺へ拡がっていくことが大きな違いといえるでしょう。また、ケロイドは黒人、黄色人種、白人の順で発症しやすいとされますが、肥厚性瘢痕はこのような人種差は顕著ではありません。

肥厚性瘢痕はなぜできてしまうのか

上記でも触れたように、肥厚性瘢痕は損傷が真皮中層まで及んでしまった場合や、傷口の治りが遅くなったことが要因で発症すると考えられています。ただし、発症のメカニズムに関してはわかっていないことが多く、今後の研究が期待されます。
また、ケロイドには「ケロイド体質」といわれるような体質があることがわかっていますが、肥厚性瘢痕にはそのような体質はあまり見られないといわれています。

 

肥厚性瘢痕の治療法は

肥厚性瘢痕の治療には、圧迫療法、ステロイド軟膏やテープの使用、内服治療、ステロイド注射、手術療法などがあります。

圧迫療法

肥厚した傷口をシリコンゲルシートやサポーター、コルセットなどで圧迫し、線維組織の増殖抑制を目指します。

ステロイド軟膏やステロイドテープ

ステロイドの持つ抗炎症作用で線維組織の増殖を抑え、赤みやかゆみなどの症状を緩和します。

内服治療

トラニストを内服し、瘢痕組織の増殖を抑制します。抗アレルギーの作用もあるため、赤みやかゆみの軽減効果も期待できます。

ステロイド注射

テープや軟膏よりも作用が強いため、より高い効果が期待できます。ただし、皮膚にへこみがでるなどの副作用が現れる可能性があることは理解しておきましょう。

手術治療

肥厚して盛り上がった部分を切除し、縫い合わせて傷あとが目立たなくなるように処置します。範囲が広い場合は、患者の要望により植皮が検討される場合もあります。状態によってはレーザー治療をすすめられることもあるでしょう。手術だけでは再発の可能性があるため、他の保存療法や放射線療法を併用するのが一般的です。手術治療の予後は良好とされています。

範囲の大きい肥厚性瘢痕の治療は、手術選択とするケースが多いとされています。ただし、予後が良好とはいえ手術後に再発するケースが全くないというわけではありません。

 

おわりに:手術の効果が高いが、リスクもある。医師と相談しながら納得のいく治療を!

肥厚性瘢痕の治療には手術やレーザー治療、保存療法など様々あります。手術の効果は高いといわれていますが、どんな手術にもリスクが必ずリスクは伴います。それぞれの治療のメリットとデメリットを正しく理解し、医師と相談しながら自分にあった治療を選択するようにしましょう。

 

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