解離性障害とはどのような病気か ~ 原因・症状・治療法 ~

2017/11/17

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

ストレス社会の現代では、さまざまな心の病を発症するリスクがありますが、そのひとつとして挙げられるものに「解離性障害」があります。今回の記事では解離性障害について、全般的な情報をお届けしていきます。

解離性障害とは

 

解離性障害は、強いストレスの原因となったものを忘れるなど、強いストレスから身を守るために自己防衛の1つとして脳が異常な動きを見せる病気です。

例えば、子供が遊びに夢中になり、お母さんの呼びかけに応じないことがありますが、これは遊びに集中し、意識から遊び以外のことが切り離されているために起こります。こうしたものは正常な解離とされ、他にも会議で考え事をしていて、呼びかけられても気づかなかったというのもその1つです。

ただ、解離性障害の解離はこういった正常な解離とは違い、その病気のために日常生活に支障が生じたり、周囲に迷惑をかけたりするほどのものになります。

解離性障害を発症する原因

解離性障害になってしまう原因は、大きく分けて3つ存在します。まずはストレスによるものです。以前は性的虐待を受けた場合に解離性障害になりやすいとされていましたが、近年ではいじめや事件、事故、人間関係などによる強いストレスが、解離性障害の原因と考えられています。

次に自閉症を抱えている場合です。自閉症やアスペルガー症候群の人の場合、ひとつの物事に集中しやすいという性質が解離性障害と似通っていることが言われています。このために解離が起こりやすく、それでいて細かなストレスがかかりやすいことから解離性障害を誘発する可能性が指摘されています。

最後に、子供が受ける虐待などです。虐待を受けた子供の半数以上は解離性障害を抱えるという統計もあるほどです。

解離性障害になると、どんな症状が現れるのか

解離性障害という病気になると、いくつかの症状に悩まされます。まずは離人症と呼ばれるものです。自分が目の前で見ているものが、さも映画を見ているかのような感覚になり、現実感が失われる症状です。

また、解離性健忘も代表的な症状のひとつです。ストレスの原因となった事象を全く思い出せない、もしくは一部分だけ思い出せず、限定的な記憶喪失の状態になっているような症状をいいます。これは強いショックにより、自己防衛で思い出させないようにするために起こりえます。

他に、幻聴や幻視、トランス状態、解離性同一障害、解離性運動障害、解離性遁走なども症状の1つです。これらの症状は統合失調症に似たものも含まれているため、時折誤解されることもあります。

解離性障害はどのように治療するのか

治療法としてまず挙げられるのが、精神療法です。解離性障害を発症する患者さんの多くは強いストレス状態にあり、トラウマも抱え、心に大きな傷を負っています。傷を癒し、ストレスを解消させるためには精神療法で安心できる環境を作り出していくことが求められます。それに付随して薬物療法により、精神を落ち着かせることも必要になります。人によっては入院をして改善を図るケースも見られます。

子供の場合は遊戯療法がおこなわれます。安心できる環境で遊ばせることで、子供が抱えている苦しみを解き放つという治療法です。遊戯療法では子供が主導して遊ぶことになるので、その間に併行して保護者と面談をして家庭環境などを確かめ、どのように接していけばいいのかなどのアドバイスを行います。

おわりに:「もしかして?」と思ったら専門の医療機関へ

トラウマとなる記憶の一部だけ抜け落ちているなど、疑わしい症状がみられたら早めに病院を受診しましょう。解離性障害は、専門の医療機関にて適切なケアを受けることで、症状の改善が望める病気です。

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