唾石症(だせきしょう)とは ~ 唾液腺にも結石ができる? ~

2017/12/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

結石というと、尿管などに生じる尿路結石を思い浮かべる方が多いでしょうが、実は口の唾液腺にも結石が生じることがあるのです。今回はそんな病気、「唾石症(だせきしょう)」について全般的な情報をお伝えしていきます。

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唾石症(だせきしょう)とは

唾石症(だせきしょう)とは、唾液腺の中や導管の中に石ができる病気のことです。この石のことを「唾石」といい、唾石の大きさはほんの数mmの小さなものから、数cmに及ぶものまでさまざまです。唾液腺には耳下腺、顎下腺、舌下腺、小唾液腺がありますが、中でも顎下腺が最も唾石が生じやすいとされています。

また、唾石の発生場所には、唾液腺そのものの中で発生する場合、唾液を口の中に送り出す排泄導管の中で発生する場合、唾液腺と排泄導管の移行部のところで発生する場合の3つがあります。

唾石症になると、どんな症状が現れるのか

唾石症になったとしても、石自体が小さければ唾液の流れを止めることはないので特に問題はありませんが、大きなものだと唾液の流れが止められ、特に食べ物を摂取しようとしたときに強い痛みが生じることになります。そして炎症が発生すると、排泄導管の出口のところで赤くなり、そこが腫れてしまいます。膿が出てしまうだけでなく、口腔底と呼ばれる舌の裏側あたりが赤くなり、むくんだ状態となります。また炎症が起きると、蜂巣炎と呼ばれる皮膚やその下の炎症につながり、腫れや痛みだけでなく、発熱も起こるようになります。

なぜ唾石症を発症するのか

唾石が発生する明確なメカニズムは分かっておらず、原因も定かではありませんが、尿管結石などでの結石の発生パターンと近いのではないかという説が有力です。尿管結石の場合、カルシウムが別の成分と結合し、それが結石となります。そして唾石症の場合も、細菌や小さな異物に唾液中のカルシウムが沈着・結合したことで、唾石になった可能性が高いと考えられています。一度唾石が出来てしまうと、それを核としてどんどんカルシウムが付着していくようになります。

唾石症はどうやって治療するのか

唾石症の治療法として、唾石の自然排出を待つ場合もありますが、たいていの場合は手術が必要になります。唾石の発生箇所によって手術の方法は異なりますが、排泄導管の出口のすぐ近くであれば、管を切り開いて石だけ取り除けばよいため、比較的簡単に行うことができます。手術前には、事前にX線検査などで唾石の場所や個数を確認し、取り出したら管を縫い合わせることになります。

一方、奥深くに唾石がある場合、症状がなければ経過観察となり、症状が繰り返し認められる場合には唾液腺を含めてすべて切除ということになります。また、漢方薬によって治すというやり方も一部では存在しますが、得られる効果には個人差があるため、基本的には専門医と相談の上治療方法を決めていくことになります。

おわりに:唾液腺の腫れや痛みがあったら病院へ

唾液腺のあたりが腫れたり、痛みが生じたりしている場合、もしかすると唾石症を発症しているかもしれません。進行すると蜂巣炎につながる恐れもあるので、気になる症状がある場合は、病院にて検査を受けるようにしましょう。

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