記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/11/2 記事改定日: 2019/5/10
記事改定回数:1回
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
目に突き刺すような痛みを感じたり、充血がみられたりしたら、「強膜炎」を発症しているかもしれません。この記事では、強膜炎の特徴的な症状や原因、治療法について解説していきます。
強膜とは眼球の1番外側にある膜のことで、角膜に覆われていない部分を全体的に覆っています。眼球の中では最も強い部位で、眼球をさまざまな衝撃や圧力から守る働きを持っています。
そして、この強膜の層に炎症を起こしている状態が強膜炎で、膜の表面に炎症を起こしているものは上強膜炎と呼ばれます。
強膜炎の症状は眼球の激しい痛みや充血、涙の量の増加、光への過敏性などで、視力の障害を引き起こすこともあります。強膜炎は片目だけにも発症しますが、患者さんの約3分の1は両目同時に発症します。男性より女性に多く、年代は30代から50代が最も多く発症する病気です。
強膜炎を発症すると、眼球にさまざまな症状が起こります。上強膜炎の場合は症状は比較的軽度ですが、強膜炎ではより強い症状が発生します。
代表的な症状は目の激しい痛みです。突き刺すような強い痛みが眼の奥に生じ、睡眠を妨げたり、食欲を低下させるなど、日常生活に大きな影響を及ぼします。
また眼球の強い充血も起こり、ときに充血部が紫がかった色となり、点眼薬では解消しないことがあります。
ほかには涙の量が増加したり、光に対する過敏反応が起きたりという症状もみられます。
なお、目の後ろ側の強膜に炎症が起きている場合は、視力にも大きな影響を与えます。重症化して激しい炎症が起きた際には、眼球に穴が開いてしまうこともあり、この場合は眼球の摘出が必要になるなど、視力と生活に重大な悪影響を与えてしまいます。
現在のところ、強膜炎の詳しい原因はわかっていませんが、さまざまな病気から二次的に引き起こされると考えられていて、まれに細菌やウィルスの局所的な感染によって起こることもあります。
原因とされる疾患としては、免疫が自己の正常な細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患や、全身性の炎症性疾患といった病気が挙げられてます。
なお、強膜炎の合併症として最も多いと言われているのは慢性関節リウマチです。
このほかにも
なども強膜炎の原因となる疾患と考えられています。
強膜炎は治療が遅れて重症化すると視力障害などの重篤な後遺症を残すことがあります。このため、強膜炎を発症した際には、痛みなどの症状がない場合でも治療を行うのが基本となります。
治療はステロイド入りの点眼薬が使用されますが、効果がない場合にはステロイド薬の内服や点滴などの全身投与を行うことになります。また、上記のような病気が原因の場合には、それらの病気に対する治療も同時に行っていく必要があります。
強膜炎の原因はよくわかっていませんが、特定の病気の合併症として現れることがあると考えられています。
目の充血や激しい痛みなど疑わしい症状がみられたら、強膜炎だけでなく何らかの病気のサインの可能性もありますので、早めに病院を受診してください。