涙嚢炎(るいのうえん)とは ~ 泣いていないのに涙が止まらない ~

2017/11/10

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

赤ちゃんの目を見てみたら、泣いているわけではないのに涙が流れていた――そんな症状でびっくりしたことはありませんか?もしかしたらそれは、「涙嚢炎(るいのうえん)」かもしれません。詳しい症状や原因、治療法について解説していきます。

涙嚢炎(るいのうえん)とは

涙嚢炎(るいのうえん)とは、泣いているわけではないのに涙が止まらなかったり、常に目が潤んだりといった症状があらわれる目の病気です。新生児によくみられる疾患ですが、成人であっても発症することがあります。

涙嚢炎は、鼻の付け根あたりに位置する涙嚢(るいのう)と呼ばれる小さな袋状の器官が、細菌に感染することで発症します。はじめのうちは痛みはありませんが、悪化すると目頭のあたりが赤く腫れ、膿のような目やにがでるようになります。

目と鼻は鼻涙管(びるいかん)と呼ばれる細い管でつながっており、この管が塞がることで炎症を起こし涙嚢炎となります。涙嚢炎は「慢性涙嚢炎」と「急性涙嚢炎」、「新生児涙嚢炎」の3つの種類に分けることができます。

涙嚢炎の症状

涙嚢が細菌に感染すると増殖した細菌によって鼻涙管への流れがせき止められてしまうため、本来鼻に排出されるはずの涙が常に目から溢れ出てくる状態になってしまいます。多くの場合炎症により軽い腫れを起こし、眼脂(目やに)が生じます。こういった状態を「慢性涙嚢炎」といいます。

症状が悪化すると目の周囲の腫れは酷くなり、まぶたや頬などに激しい痛みがあらわれます。この状態を「急性涙嚢炎」と呼びます。重症化すると発熱を伴うこともあります。さらに炎症が周辺組織にまで及ぶと、脳髄膜炎(のうずいまくえん)などを合併する恐れもあります。これらの症状で涙嚢炎が疑われる場合、なるべく早い段階で眼科を受診するようにしましょう。

涙嚢炎を発症する原因

先ほど触れましたが、涙嚢炎の原因は目と鼻をつなぐ経路が何らかの理由で塞がれることで起きる「鼻涙管閉塞」であることがほとんどです。この経路が詰まってしまう原因は、先天性によるものと後天性によるものに分けられます。

新生児に起こる場合は、先天性で形成異常による閉塞であることが多いです。形成異常といっても、生まれたばかりの時には薄い膜が残るなどして開通していないというだけで、たいていは自然に開通します。もしくは母体の産道で細菌に感染していることも考えられます。

後天性の場合は蓄膿症や鼻炎、鼻腔ポリープなどといった鼻の病気や、結膜炎など目の病気が発端となって起こることが多いです。どちらの場合も細菌が入り込むことで炎症が起こり発症します。

涙嚢炎はどうすれば治るのか

涙嚢炎の治療では、細菌による炎症を抑えつつ、原因となっている閉塞を改善させる必要があります。

まず細菌の感染に対しては、主に抗菌薬の投薬治療が行われます。目薬や飲み薬などで細菌の増殖を抑え、炎症を鎮めます。

閉塞に対しては、先天性であれば多くの場合は自然に治まるか、もしくはマッサージをするだけで改善することが可能です。それでも改善が見込めない場合には、「ブジー」と呼ばれる細い針金のような器具を用いて詰まりを開放させることがあります。

後天性の場合は先ほどのブジーを用いる処置のほか、シリコン製のチューブを通してしばらく放置することで通りをよくする治療が行われます。場合によっては涙嚢を摘出する外科手術を行うこともあります。

おわりに:涙嚢炎の治療法は原因によって異なる。まずは専門医の診察を

涙嚢炎の原因は、形成異常による先天的なものや、鼻炎といった後天的なものなどさまざまで、その原因に応じて治療法も変わっていきます。そのため、涙嚢炎の症状がみられたら、まずは専門医に診てもらうことが重要です。

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