サルコイドーシスの部位別の症状の特徴と全身症状の特徴とは!?

2017/11/22 記事改定日: 2018/6/14
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

サルコイドーシスとは、類上皮細胞肉芽腫を形成する病気です。目や肺、心臓、皮膚など、全身にできる可能性があり、できる部位によって症状が違ってくるという特徴があります。この記事ではサルコイドーシスの基礎知識を紹介していきます。

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サルコイドーシスの症状とは!?体にどんな変化が起こるの?

サルコイドーシスは類上皮細胞肉芽腫という0.2mm程度のものから、顕微鏡でやっと見えるものまで大小様々な大きさの肉の塊のようなものができる病気です。この肉芽腫は全身にできますが、できる部位により症状が違ってきます。

自然治癒することもあり、軽症の場合には特に治療を必要としませんが、肺や目、心臓といった場所に起こった場合には、治癒が困難になるケースも多いです。しかし、慢性化した場合でも治療を継続することで問題なく日常生活が送れるといわれています。

発症後の症状

サルコイドーシスを発症すると、90%以上の多くの人が肺や胸部のリンパ節に肉芽腫ができ、咳、痰、呼吸困難、リンパ節の腫れといった症状がでるようになります。

目に症状があらわれる人も多く、そのほとんどはぶどう膜炎として現れます。目が見えにくい、霧がかかったようにぼやける、視野の中に黒い点ができて、それが動いたりする、などの症状があらわれます。

心臓

心臓に肉芽腫ができた場合には、軽度の心電図上の異常だけの場合から、実際に不整脈を自覚することまで程度は様々です。サルコイドーシスの死亡例の半数以上は心臓に関係しているとされているため、不整脈を感じるようになった場合は注意が必要です。

サルコイドーシスでは肺の中に多数の肉芽腫ができても呼吸器症状などが現れにくいのが特徴で、健康診断などでレントゲン写真を撮って見つかることが多いとされています。
また、若年の発症者は多くが自然と治り、特別な治療は必要ありません。しかし、病状が進行すると、肺線維症を発症し、咳や息切れなどの症状が現れることもあります。肺線維症を発症すると薬物療法では効果が見られず、肺移植が必要となることもあるので注意が必要です。

皮膚

皮膚病変は鼻や頬、額などの顔面や腕、足、腹部、臀部などいたるところに生じます。多くはかゆみや痛みを伴わない赤みを帯びた皮疹として現れますが、中には皮下にしこりとして触れるものもあります。また、膝や肘などには過去の傷跡に食い込むように皮疹が現れることもあります。

神経

神経病変は全身の様々な部位に生じる可能性がありますが、頻度が高いのは顔面神経で、病変が生じると顔の歪みが生じる顔面神経麻痺を発症します。また、脳や脊髄にも肉芽腫ができることがあり、麻痺や運動障害、痛みなどを生じ、病変がどの神経にできたかによって症状は大きく異なります。
さらに、末梢神経が障害されることで起立性低血圧や情緒不安定などの自律神経失調症が引き起こされるケースも多いとされています。

サルコイドーシスの非特異的全身症状

サルコイドーシスでは全身の様々な臓器や神経、骨などに肉芽腫が生じますが、これらの肉芽腫による症状とは直接関連しないような全身症状が現れることがあります。
肺病変がないものの息切れを生じるケースや発熱、全身の痛み、耳鳴りなど様々な症状が挙げられます。
このような症状は検査をしても異常が発見されず、「不定愁訴」として放置されるケースが非常に多く、患者は中々改善しない辛い症状に悩まされることがあります。また、特定の病変がないため、治療を行えないことが多いですが、ステロイド薬の内服治療によって非特異的全身症状が改善するとの報告もあります。

サルコイドーシスの原因 ― 発症するのはなぜ?

サルコイドーシスの発症原因はまだわかっていません。
しかし、研究結果ではサルコイドーシスにかかりやすい体質があり、そのような方が、何らかの細菌のようなものによって特殊な免疫反応が起こって発症するのではないかと考えられています。

免疫反応にはリンパ球が関係していて、特にTリンパ球の活動が盛んになることで、そこから作りだされる物質の量が増え、マクロファージ細胞が刺激されるようになり、過剰反応を起こして肉芽腫ができるのではないかということです。

また、サルコイドーシスの約80%の人の肉芽腫内にプロピオニバクテリウム アクネス(アクネ菌)が存在していることがわかってきました。このアクネ菌がサルコイドーシス発症と関わりがあるのではと研究が進んでいます。

サルコイドーシスの治療法は

サルコイドーシスでぶどう膜炎を起こしているときは、ステロイド薬の点眼、結膜下注射で治療が行われ、散瞳薬も併用します。日常生活では、長時間のテレビやゲームを避けるように指示されるでしょう。

肺の症状が強くなり、呼吸困難がでたり、咳による苦痛が強い場合には、ステロイド薬を中心とした薬物療法を行います。

肺門リンパ節の腫れのみの場合には、治療をしなくても日常生活が送れることがほとんどですが、激しい運動は避けるようにします。

心臓の症状に対しても、ステロイド薬を使用する治療法があります。また不整脈がある時には、ペースメーカーの手術が検討されることもあるほか、抗不整脈薬を使ったり、心臓のポンプ機能が低下しているときには、利尿剤などを使用することもあります。

おわりに:サルコイドーシスはまれに重症化することも。発生部位によって症状も違うので注意

サルコイドーシスは全身にできる肉芽腫で、無症状から軽症の場合も多く自然治癒することもありますが、重篤な症状に発展するケースもあり、発生する部位によって症状や治療法も変わってくるので病院での治療が推奨されます。
慢性化して完治までに時間がかかることもありますが、適切な治療を受けることで日常生活に支障はないとされているので、気になる症状があるときは早めに病院に相談しましょう。

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