ハンチントン病は遺伝性の病気?! 原因や経過を解説。

2017/11/27

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ハンチントン病は難病指定されている神経変性疾患であり、遺伝子に異常が起こることが発症の原因です。この記事では、ハンチントン病の遺伝の特徴と症状の変化について詳しく解説しています。

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ハンチントン病って、どんな病気なの?

ハンチントン病は遺伝性の神経変性疾患で、日本では厚生労働省の特定疾患に指定されている難病です。常染色体優性遺伝形式という遺伝形式を持ち、ハンチントン病患者の子供が同じ病気に発症する確率は50%とされています。

この病気の発症年齢は30~40代の中年期が多いですが、まれに成人前の子供が発症することもあります。

ハンチントン病は遺伝子の一部が変形することで運動機能や認知機能に影響を及ぼす疾患ですが、その代表的な症状は不随意運動と呼ばれるもので、自分の意志に反して体が動いてしまったり、筋肉のひきつけを起こすものがあります。また、精神症状も現れるため、中には統合失調症など別の疾患と間違えられることも少なくありません。

特徴的な症状と経過について

ハンチントン病の症状は運動症状と精神症状があり、初期・中期・後期と進行していくと症状も変わってきます。ただし、進行には個人差があり、この病気にかかる全ての人がこのように症状が現れるわけではありません。

ハンチントン病の運動症状では、手足を勢いよく伸ばしたり、頭部を回す動き、舌を出す、しかめ面をするといった不随意運動の症状が現れます。初期は顔をしかめたり、瞬きの増加、手足の違和感といった症状が中期になると手足の不随意運動、嚥下困難、つまづきやすくなるなどの変化が現れ、後期になると食事や排泄といった日常行動が自力ではできなくなります。

精神症状では初期には落ち着きがない、イライラ、無気力などが見られ、中期になると過剰な興奮、頑迷、幻覚に発展し、後期には徘徊、感情失禁、重度の抑うつ状態が現れるようになります。

ハンチントン病の原因は?

ハンチントン病がなぜ起こるのかというと、第4染色体に局在する遺伝子(IT15、ハンチンチン)の繰り返し配列の異常が原因で起こります。第4染色体の繰り返し配列は通常は26回以下のところ、ハンチントン病患者の場合は36回以上と伸長していて、その長さにより発症年齢や症状の重度が決まるとされています。

また、ハンチントン病で起こる不随意運動は脳で随意運動をつかさどっている大脳基底核と大脳皮質が委縮することで起こることがわかっています。

このように遺伝子の配列異常が原因と判明しているため、ハンチントン病の診察は問診による家族歴や臨床初見から病状判断はされますが、確定診断は遺伝子検査という方法が採られています。

子供のほうが重症化するって本当?

ハンチントン病は第4染色体の配列異常で、通常よりも長く配列することでこの疾患が起きると前述しました。また、遺伝性の疾患であることも前述の通りですが、下の世代へ受け継がれるごとに配列が伸長する特徴があると考えられています。

配列が伸長するほど症状が強く、また若くして発症する特徴があるため、親から子に遺伝した場合、子供の方が症状が重度になる可能性が高まります。親から子へ遺伝した場合、まず子供が発症し、親はその後発症するというパターンがほとんどです。

子供がハンチントン病に発症した場合、大人のように不随意運動が起きるのではなく、主たる症状はパーキンソニズムです。これは手足の筋肉が固縮してしまう症状で、20歳以下の子供の脳は未成熟なため大脳基底核が発達していないためと考えられています。

おわりに:ハンチントン病の症状と遺伝の特徴を理解することが大切

ハンチントン病は遺伝性疾患であり、親よりも子供のほうが症状が重くなるという特徴があります。症状は、初期・中期・後期と病気の進行状況で変わってきますが、個人差があるということも留意しておきましょう。難病であり根本治療が難しい病気ですが、症状を緩和する薬はあります。遺伝と症状の特徴など、ハンチントン病への理解を事前に深めておくことが、家族など身近な人が発症したときの対策に役立つでしょう。

 

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