進行性核上性麻痺の治療の進め方と症状の特徴とは?

2017/11/16 記事改定日: 2019/3/27
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

歩行障害や嚥下障害など、日常生活に支障を及ぼすさまざまな症状が現れる「進行性核上性麻痺」。国の指定難病にも定められている病気ですが、果たしてこの進行性核上性麻痺は治療可能なのでしょうか?

進行性核上性麻痺の原因とは?

進行性核上性麻痺は、大脳基底核変性症やパーキンソン病とともにパーキンソン病関連疾患に含まれる病気です。
40歳以降から平均60歳代で発症し、特に大脳基底核(身体の動きを円滑にしたりバランスを補正する機能を司る部分)や脳幹(呼吸や心拍調節、嚥下機能などを司る部分)といった部位の神経細胞が減少していきます。

進行性核上性麻痺の原因については、現在のところはっきりと解明されていませんが、脳の各部位にある淡蒼球、視床下核、小脳歯状核、黒質、脳幹被蓋などの神経細胞が脱落し、異常な酸化タウというタンパク質が神経細胞内に蓄積することによって起こると考えられています。

進行性核上性麻痺の予後については、一般的に症状による日常生活動作の低下の進行が速く、平均2~3年で車椅子が必要となり、平均4~5年で寝たきりになる傾向があります。

進行性核上性麻痺の症状

進行性核上性麻痺の症状はさまざまですが、代表的な症状としては大きく4つ挙げられます。

歩行障害
筋肉の動きが円滑でなくなるために動きにくくなり、結果的に立って歩くのが困難になります。
姿勢反射障害
身体のバランス調節が困難になり、真っ直ぐに歩くことが困難になったりします。

これら2つの症状が重なることで転倒しやすくなり、骨折などのケガのリスクが高まります。

嚥下障害
嚥下障害とは食べ物や飲み物を飲み込むための筋肉の力が低下したり、気管に飲食物を誤って飲み込まないようにする反射機能が低下したりすることで起こります。この症状が進行すると、誤嚥性肺炎を起こすリスクが高くなり、予後に大きく影響を与えることにつながります。
精神症状
前頭葉を中心としていわゆる認知機能が低下するために、思考の遅れや無表情、抑うつなどが生じます。ただ、見当識や記憶力は比較的保たれていることが多いです。

進行性核上性麻痺はどうやって治療するの?

進行性核上性麻痺の根本的な治療法は、現在のところ確立されていません。そのため、出現した症状の緩和や進行を遅らせるための対症療法が行われることとなります。

まず進行性核上性麻痺の初期段階では、ドーパミンなどのパーキンソン病治療薬の投与が有効ですが、効果は一時的なものに留まる場合が多いです。そのほか、精神症状に対しては抗うつ薬を使うこともあります。

一方、薬による治療と合わせて症状の軽減や進行を少しでも遅らせるために重要になってくるのがリハビリテーションです。

日常生活上では転倒が大きなリスクであり、転倒による骨折などで日常生活に大きな支障をきたすことにつながりますので、できるだけ運動を行い、身体の筋肉の力やバランス機能を含めた運動機能の維持をしていくことが重要です。

また、飲み込みなどの嚥下機能のリハビリも日常生活におけるQOLの維持や誤嚥性肺炎を予防していく上では重要となります。

リハビリの方法と注意点

進行性核上性麻痺では、転倒を予防するために体幹を鍛えるためのストレッチや筋力トレーニング、バランス訓練などを行う必要があります。特に、頚部の筋強剛が強い場合は転倒するリスクが高くなりますので首のストレッチは入念に行う必要があります。
その他にも、症状に合わせて嚥下訓練や言語訓練などが行われます。

リハビリを行う際には、転倒に注意し、常にだれかが近くで支えられるような体制を整えてから行うようにしましょう。また、嚥下訓練などでは誤嚥性肺炎を引き起こすこともありますので、日頃から口腔ケアをしっかり行い、リハビリ後に発熱や咳などの症状が見られる場合には速やかに病院に相談するようにしましょう。

おわりに:進行性核上性麻痺と診断されたら、専門の医療機関で治療を!

進行性核上性麻痺の治療法は、まだ確立されていないというのが現状です。ただ、薬物療法やリハビリテーションを行うことによって、症状の進行を最小限に食い止めることができると考えられているので、まずは専門の医療機関を受診しましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

治療(462) 症状(559) 進行性核上性麻痺(3)