海綿状血管腫とは ~ 脳にできる血管の奇形について ~

2017/11/15

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

MRI検査などで突然判明することの多い「海綿状血管腫」。脳にできる血管腫のため、不安に思う方も多々いらっしゃいますが、果たして海綿状血管腫とはどういった病変なのでしょうか?

海綿状血管腫とは

海綿状血管腫とは、脳の中に異常に拡張した血管が密集し、存在している血管奇形のことをいいます。MRI検査や脳ドックなどで見つかることが多い病変で、20歳台から40歳台で発症することが多く、発症率にそこまで男女差はありません。

海綿状血管腫は、腫瘍とは異なり増殖することはないので、1か所のみにできるのが一般的です。大きさも1cm以下の小さいものがほとんどとされています。ただし、中には多発するタイプの「多発性海綿状血管腫」もあります。

また、まれに家族性の海綿状血管腫もあります。この場合、遺伝によって引き継がれますが、遺伝子を持っているからといって必ず海綿状血管腫になるわけではありません。

海綿状血管腫の症状

海綿状血管腫はMRIなどを受けた際などに偶然発見される場合が多く、症状も出ないものがほとんどです。症状がある場合には、てんかん発作や脳出血などが起こります。

また、海綿状血管腫がどの部分にできたかによっても、その後の症状に違いが現れます。運動野に血管腫があった場合には運動機能に支障をきたすことが多く、前頭葉や側頭葉の内側にできた場合にはてんかん発作が出ることが多くなります。また、側頭葉にあった場合には、高次脳機能障害や失語などの症状が出ることがあります。

なお、脳幹にできた海綿状血管腫は、出血が起こりやすいとされています。出血を何度も繰り返していると、重篤な症状を引き起こす恐れがあるので注意が必要です。出血のほかには、顔面麻痺、半身麻痺、二重にものが見える、ふらついてしまう、めまいがする、ものが飲み込めない、記憶障害といった様々な症状が現れます。

海綿状血管腫の治療法

海綿状血管腫は、症状が出ていない場合には治療する必要はありません。そのまま放っておいても大丈夫です。脳出血を起こした際には、一度だけであればそのまま様子を見ることになります。再出血する可能性は低いためです。何度か出血する場合でも、少量の出血であれば手術をせずに経過観察になります。ただし、出血を頻繁に繰り返すような場合や海綿状血管腫が大きくなる場合には、手術によって腫瘍を取り除きます。

また、てんかん発作が起こる場合には、抗てんかん薬など発作を抑える薬を処方します。薬でコントロールできない難治性のてんかんの場合には、手術によって海綿状血管腫を取り除きます。その際には、再発作を防ぐために周囲の軟化した部分も一緒に取り除く必要があります。なお、脳幹部の手術は非常にリスクが大きいので、手術を選択するかどうかは慎重に判断する必要があります。

おわりに:海綿状血管腫は、無症状であれば基本的には治療の必要なし

大半の海綿状血管腫は、存在しても症状が出るものではないため、そこまで心配する必要はありません。ただし、頻繁な脳出血やてんかん発作など危険な症状がみられた場合は、手術や治療をする必要があるので、すぐに病院を受診してください。

この記事に含まれるキーワード

治療(464) 症状(560) 海綿状血管腫(2)