記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/11/2 記事改定日: 2019/12/13
記事改定回数:1回
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
黒目の位置がずれてしまう斜視の中で、外側にずれてしまうタイプのものを「外斜視」といいます。今回の記事では、外斜視のリスクや治療法についてお伝えしていきます。
通常、黒目は目の真ん中にあります。しかし外斜視は、本来ならば真ん中にあるはずの黒目が外側にずれています。
ずれている位置は個人差があり、気にならない程度の人から、黒目が見えない程外側にずれてしまっている人までいます。
なお、外斜視でないほうの黒目は真ん中にある事が多く、片目の黒目だけが外側にずれているという場合が多いです。
外斜視には2つの種類があります。
間欠性外斜視は、物を集中してみている時には黒目は通常の位置にありますが、ぼんやりしていているときや起床して間もないときに黒目が外側にいってしまいます。
恒常性外斜視は、常に外斜視の状態になっています。0歳児がなることもあれば、失明をきっかけになることもあり、間欠性外斜視が恒常性外斜視に発展してしまうこともあります。
外斜視は目を正常な位置に維持するための筋肉やその筋肉を司る神経の異常、片方の目のみの視力低下によって両眼視(両方の目で物を見ること)ができなくなることなどによって引き起こされます。
筋肉や神経の異常は、目の周囲の外傷、脳梗塞や脳出血などの脳の病気が主な原因であり、大人になって急に外斜視になることも少なくありません。一方、視力の低下によるものは生まれつきのことが多いとされています。
外斜視では黒目の位置が違っているので、左右で見え方が違います。その結果、物が二重に見えてしまうようになることがあります。
この状態では、二重に見えるのを防ごうとして「斜視側の目から入ってくる情報を無視する」という脳の働きが起こり、斜視が進行してしまうことがあります。
通常、目は両目で見ることで立体感や遠近感などを把握し、正しく物を見ます。斜視ではそれができなくなるので、両目で物を見る能力が低下していってしまいます。
また、見た目に対してコンプレックスを抱えてしまうこともあるでしょう。
外斜視の治療法としては、プリズム眼鏡をかける方法があります。
プリズム眼鏡は、外斜視になっている側のレンズにプリズムを入れ、視界をまっすぐにして斜視の進行を防ぎます。
また、斜視は視能訓練士の指導のもと訓練を続けていくことで改善することがあります。
まっすぐ見えている側の目にアイパッチなどを貼り、使われていない側の目で物を見て訓練していきますが、治療期間は数年かかり、やめると戻ってしまうことがあるというデメリットがあります。
現在、斜視の根本治療として選択されているのは手術が多いです。
上で述べたような治療を行っても斜視が改善しない場合、根本的に斜視を改善するには手術が必要になります。
手術では、目の周りの「外眼筋」と呼ばれる筋肉の位置などを調節して目の位置のズレの改善を図ります。手術は1時間程度で終了し、一般的には局所麻酔を用いて行いますが、乳児期に行う場合は全身麻酔が必要になることもあり、様々なリスクも生じます。
どのような治療をするかについては、担当医とリスク・メリットについてよく話し合いながら決めるようにしましょう。
外斜視は、放置すると斜視が進行するだけでなく、視力低下に発展する可能性もあります。黒目の位置が外側にずれているなど気になる異変がみられたら、早めに眼科を受診しましょう。