根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)とは

2017/12/18

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

根尖性歯周炎とは、歯根の周囲組織が炎症を起こしている状態です。主にむし歯菌などが原因菌になりますが、根尖性歯周炎はどのようなメカニズムで発症するのでしょうか。この記事では根尖性歯周炎について解説しています。

根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)とは

根尖性歯周炎とは、むし歯が進行して歯髄という歯の神経の部分にまで達し、炎症が歯根の先から波及し歯根周囲の組織まで広がっている状態のことを言います。

むし歯の原因菌が歯の神経にまで達して感染すると、感染した神経は死んでしまい細菌が歯根の中の歯髄腔(神経がおさまっていた空間)に繁殖していきます。歯が元気なうちは、歯髄腔には神経があり血液が流れ免疫機能が働いていますが、細菌が繁殖すると血液も止まって免疫機能が働かなくなります。すると、細菌は歯髄腔の中でどんどん繁殖していき、やがて歯根の先端から周囲組織に毒素を排出したり、細菌が周囲組織にも感染を拡大していきます。この毒素や細菌が歯根の周囲組織に炎症を起こしている状態を根尖性歯周炎と言います。

根尖性歯周炎の症状

根尖性歯周炎になると

・噛むときに痛い
・歯ぐきが腫れる
・歯ぐきに吹き出物のようなものができる
・歯ぐきから膿がでる
・顎や目の下が腫れる

といった症状が現れ、膿が出る状態が続くと口臭もひどくなります。痛みは、歯根の炎症が歯周組織の1つである歯根膜という歯根を包んでいる膜に及ぶ事でおこります。歯ぐきの症状は、炎症が歯根周囲の骨を超えて歯ぐきにまで達する事が原因で起こり、歯ぐきを超えて顔面の組織にも炎症が波及すれば、顔も腫れてしまいます。

根尖性歯周炎は、レントゲン撮影をすると、歯根の先端付近が黒いかげのように見えることが特徴です。これは、周囲の骨が炎症の波及によって溶かされてしまい、代わりに膿で満たされるためで根尖病巣といいます。

根尖性歯周炎を発症した原因

上記でも触れましたが、根尖性歯周炎の原因は、歯の神経が死んでしまい細菌感染をおこしてしまうことです。歯の神経が死んでしまう原因は、神経まで達するような進行したむし歯、事故などの外傷や、食いしばりなどの過度な力が加わり神経が切断されてしまう事、深いむし歯を治療した後で自覚症状の無いままゆっくりと神経が死んでしまうなど、さまざまな原因があります。

根尖性歯周炎の治療法

根尖性歯周炎治療は、細菌感染を起こしている歯を削ってきれいにして細菌数を減少させることが目的になります。
まず、むし歯になっている部分を削り、次に神経がある歯根部分を削って、歯髄腔を開放します。歯髄腔は歯根の先端から周囲組織にまでつながっているので、開放すると膿が出てきます。しっかり膿を出しきり、歯髄腔や歯根内の細菌に感染した部分を除去して、健康な歯質だけを残すために、ファイルという針のような器具で少しずつ削っていきます。

健康な歯質だけになったら、再度細菌が侵入してこないようにしっかり圧をかけて薬をつめて封鎖します。ただし、どれだけ緊密に薬をつめても根尖性歯周炎は再発しやすい特徴があります。なんども再発する場合には、外科的手術をして歯根の先端を切除し膿を取り除く、歯根端切除術を行うこともあります。

おわりに:根尖性歯周炎にならないように、普段から口腔ケアを心がけよう

根尖性歯周炎はむし歯菌などの細菌感染が原因です。そのため、虫歯にならないようにきちんと口腔ケアすることが予防のために大事になってきます。また、虫歯になってしまったという人は、進行してしまわないように早期のうちから治療を始めることが大切です。定期的に歯科医に通い、お口の健康をチェックしておきましょう。

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むし歯(2) 根管治療(6) 根尖性歯周炎(2) 歯髄腔(1) 歯根端切除術(2)