若い人が発症しやすい「ヘッドホン難聴」ってどんなもの?

2017/10/31

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

電車内や街中では周囲の音をブロックするため、ついついヘッドホンで大音量の音楽を聴いてしまっている方は多いのではないでしょうか。ただ、それによって「ヘッドホン難聴」が引き起こされることがあります。以降でその詳しい症状や予防法について解説していきます。

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ヘッドホン難聴ってどんなもの?

携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンの普及により、いつでもどこでも音楽を楽しめる環境が整いつつある反面、若い人に増加していると言われているヘッドホン難聴が問題となっています。これは一般的に騒音性難聴とも言われ、長時間高音量で耳に負担をかける事で、聞こえが悪くなったり耳詰まりを起こしてしまう疾患です。

コンサートなどで大量の音を浴びた後に、一時的にその症状に悩まされた経験がある人も多いでしょう。しかし常にヘッドホンを通じて大音量で音楽を流す事が習慣になっている人の場合、聞こえづらさや詰まりに加え、耳の痛みや耳鳴りがおさまらないなどの状態を引き起こす可能性があります。そしてこのヘッドホン難聴が問題なのは、簡単に治癒出来るものでは無いという点です。

ヘッドホン難聴になってしまうのはどうして?

耳は外耳、内耳、中耳という部分によって聴力を司っています。特に内耳の蝸牛という器官は重要な部位であり、多くの場合、この蝸牛が傷つく事によって難聴が起こります。ヘッドホン難聴の場合は、ヘッドホンで大音量で音楽を聴いていることが原因のため、自分自身で難聴を作り出してしまっているとも言えるわけです。

内耳の蝸牛は繊細な器官であり、ダメージを受けた感覚細胞は元に戻る事が難しいため、早期に発見して治療を始めることが大切です。

どうすればヘッドホン難聴を予防できる?

そうは言っても「ヘッドホンで音楽を聴くのは止められない」と思う方も多いでしょう。そこで、耳に負担をかけずにヘッドホンで音楽を聴く方法として、まずは大音量を避けて低めの音で聴くことが挙げられます。そして、ときどき音楽を止めて耳を休めましょう。さらに耳栓などを利用したり、ヘッドホンをクローズド型からオープン型に変え、時々外しながら音量のチェックを行う事も有効です。基本的に音から耳を守るという意識を持ち、耳にも休息を与えてあげる感覚で良いでしょう。特に人混みの中では音量を上げがちになりますので音量調節は必須です。

ヘッドホン難聴かもしれない・・・と思ったら

今何となく耳が聞こえづらい、閉塞感がある、痛みや耳鳴りがあると感じている人は難聴を疑う必要があります。特にヘッドホン難聴の可能性が高いと感じる人は、早めに耳鼻科の医師の診察を受けてください。聴力を司る器官は再生する事は難しいため、症状に応じてのステロイドやビタミン剤、血管拡張剤、血流改善薬、漢方薬などを服用して症状改善を目指すのが一般的です。

おわりに:ヘッドホン難聴は早期発見・早期治療が大切!

ヘッドホン難聴では、治療が遅いとその分改善が難しくなってしまうため、早期発見・早期治療が必要です。最近耳が遠くなったなど、耳に違和感を覚えたらすぐに耳鼻科を受診しましょう。聴力疾患は、若い人の場合は今後の人生にも大きく影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

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