顔面けいれんの代表的な3つの治療法について

2017/11/17

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

自分の意思とは関係なく、目や口のあたりの筋肉がぴくぴくと動いてしまう「顔面けいれん」。今回の記事ではこの顔面けいれんについて、代表的な3つの治療法をご紹介していきます。

顔面けいれんとは?

顔面けいれんとは、顔面、その中でも特に目や口の周囲、頬の筋肉などが、自分の思いとは関係なくぴくぴくと勝手にけいれんする病気のことを指します。一般的には左右どちらかの片側に症状があらわれることが多く見られます。症状が軽いうちは、目の周囲だけに症状がみられますが、症状が進むにつれて顔面全体にけいれんの症状が見られるようになります。

人前で発表する際など、緊張する場面などで余計に症状が強くなる傾向があり、中年以降の女性にとくに多く見られます。症状がひどくなると、人を避けて閉じこもりがちになる人も多くみられ、悩みは深刻なものとなります。

顔面けいれんが起こる原因

そもそも、顔面神経は脳幹と呼ばれる脳の中心部分が司っています。脳幹には顔面神経の核の部分があり、そこから顔の筋肉や涙腺、鼻などに神経が広がっています。この顔面神経の根本の部分に、何らかのものがぶつかって神経を圧迫することにより、顔面のけいれんを引き起こしています。

顔面神経を圧迫する具体的な原因としては、主に頭蓋内の血管による圧迫があげられます。ほかには、まれなことではありますが、顔面神経を腫瘍が圧迫することにより、けいれんを誘発させているケースも見られます。そのほか、くも膜に圧迫されて顔面けいれんが起きることもあります。

治療法①:薬物療法

顔面けいれんの治療のひとつに、薬物療法が挙げられます。薬物療法でもちいられる主な薬はカルバマゼピンという抗けいれん薬ですが、これは根本的な治療ではなく、顔面けいれんの症状を緩和させる方法として使われます。カルバマゼピンは、もともとはてんかん発作の予防や三叉神経痛の薬として使われ、気分の高まりや興奮状態を抑える作用があります。

カルバマゼピンを飲めば一時的にけいれんはなくなりますが、薬物療法では完全に症状を取り除くことは難しいのが現状です。また、人前に出るなどの緊張や血圧の上昇により再発するため、仕事中に急に症状があらわれることもあります。

治療法②:ボツリヌス毒素製剤(ボトックス注射)

ボツリヌス毒素製剤(ボトックス注射)の成分は、神経の伝達を阻害する成分であり、筋肉を麻痺させる作用があります。これをぴくぴくとけいれんするまぶたの筋肉に注射することによって、けいれんを鎮める作用があります。

注射は5~10分程度で終わり、その後4~5日ほどで効果があらわれはじめ、2~4週間で効果は最大になりますが、3~4カ月ほどで徐々に効果が消失していきます。そのため定期的に再注射する必要があるでしょう。再注射を行うと、その後は4~5カ月ほどの持続効果が期待できます。

治療法③:手術療法

顔面けいれんの治療で行われる手術療法は、神経減圧術と呼ばれるものがおこなわれます。この手術を行う際には全身麻酔が行われ、神経を圧迫している血管をはがし、接触部分を取り除くことになります。具体的には、けいれんの症状が出ている方の耳の後ろを5~10cmほど切開し、頭蓋骨と皮膚の間の筋肉を丁寧にはがして頭蓋骨に小さな穴をあけて、その穴から脳の周りにある硬膜を切開します。このとき小脳を傷つけないように注意しながら血管と神経の位置を確認して、神経を圧迫している血管を見つけたら血管を丁寧にはがし、神経の場所を移動させます。顔面けいれんの手術の成功率は非常に高いものとなっています。

おわりに:各治療のメリット・デメリットを把握しよう

ご紹介したように、顔面けいれんの主な治療法には薬物療法、ボツリヌス注射、手術療法の3種類がありますが、それぞれメリット・デメリットは異なります。主治医と相談の上、ご自身に合った治療法を選択していきましょう。

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