未熟児網膜症ってどんな病気? 大きくなっても後遺症は残る?

2017/12/12

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

未熟児網膜症は、予定日よりも早く生まれた未熟児の赤ちゃんに多い眼の病気です。ひどいときには失明のおそれもあるため、適切な治療が必要になります。この記事では未熟児網膜症の基礎知識について解説していきます。

未熟児網膜症ってどんな病気?

未熟児網膜症とは未熟児によく見られる視力の低下や失明などの症状があらわれる病気です。

赤ちゃんの目は妊娠3週目という早い段階から形成されはじめますが、網膜に栄養を送る働きを行う血管は妊娠16週目あたりから発達しはじめ、最終的には妊娠36週目頃に完成します。
このように長い時間をかけて目ができあがっていくのですが、未熟児だと網膜の血管が完成する前に生まれてしまうため発達が中途半端になってしまい、血管が枝分かれしたり、新たな血管ができたりするなど、通常とは違う発達をしてしまうことから網膜剥離を起こしてしまうことを未熟児網膜症といいます。

未熟児網膜症のふたつの症状とは?

未熟児網膜症は大きく分けて2つのタイプにわかれます。徐々に進行するⅠ型と急激に進行するⅡ型です。どちらに分類されるのかは出生後に検査をするまでは分かりません。

Ⅰ型は進行がゆっくりのため、治療をしなくても自然と治ることもあるようです。症状の進行具合によって段階が設けられ、それに合わせて治療法が変わってきます。
Ⅱ型は網膜剥離を起こして失明する可能性が高く、出生時に低体重だった赤ちゃんに発症しやすいといわれています。

未熟児網膜症は眼の中で起こっている病気のため、見た目で判断することができません。そのため、まずはきちんと検査をして症状の段階を判断する必要があります。また、この病気を治療したとしても、高頻度で近視や斜視、弱視などの症状が見られ、程度は違えど何かしらの視力障害は残る可能性があります。

未熟児網膜症を治すことはできる?

Ⅰ型の症状は5段階に分けられます。1~2段階目までは自然治癒の可能性があるので経過観察になりますが、3段階目からは網膜剥離になる危険性が上がるので治療が検討され、治療となった場合は基本的にレーザー治療が施されます。そして4~5段階目になってしまうと網膜剥離を起こしているため強膜輪状締結術や硝子体手術などの手術を行わなければなりません。
Ⅱ型の場合は急速に症状が進行しているため放置するのは危険です。そのためⅡ型と診断されたらすぐに治療に入ります。治療方法はⅠ型と同じくレーザー治療や手術になります。
生まれたらすぐに検査を行い、例えⅠ型の1~2段階目だったとしても、検査後に悪化する可能性もあるので、定期的に検査しながら様子を見てあげましょう。

赤ちゃんに後遺症は残る?

自然に治った未熟児網膜症については、網膜症自体が視力に悪影響を及ぼすことはないとされています。しかし、予定日より早く出生した赤ちゃんには、近視や乱視、斜視などが起こることがあるようです。また、脳内出血や脳室周囲白室軟化症などの脳の病気を持っている場合は、視力の成長が阻害される可能性があります。

治療が必要な未熟児網膜症は、障害の度合によって予後が変わってきます。黄斑部(網膜の中心部。視細胞が集中している部位)に障害がなければ、視力低下がみられても日常生活を妨げるほどにはならないといわれています。
ただし、近視になるケースが多いので、めがねなどで視力矯正する必要は出てくるでしょう。

黄斑部に障害が起こったり、網膜剥離を起こしているものについては、視力に重度の障害が残る可能性が高いです。治療後も定期的な検査が必要になります。

おわりに:未熟児網膜症は、進行してしまうと失明するおそれがある病気。赤ちゃんが生まれたときは必ず眼科検診を

未熟児網膜症は、予定日よりも早く生まれた未熟児の赤ちゃんがかかる可能性が高い病気です。未熟児の場合、通常は生後3週間までに検査するとされているので必ず検査を受けるようにしてください。また、検査後や治療後も定期的な検査が必要です。赤ちゃんの様子をチェックしながら、医師と相談のもと長期的にケアしていきましょう。

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