記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
気分の上下が自力でうまくコントロールできず、日常生活に支障が出ている場合、「気分障害」の可能性があります。特徴や治療法など、以降で詳しく解説していきます。
気分障害とは、名前の通り気分が落ち込んだり逆にテンションが上がったりなど、気分にムラがあったり、感情のコントロールが一定ではなかったりする状態です。泣いたり笑ったりという感情は誰にでもあるものですが、その場面に応じた適切な気分の状態になることができず、日常生活を営めない状態が長引くと気分障害と判断されます。
一見判断が難しいのですが、気分障害の場合は、例えば喜ぶべき場面で喜ぶことができなかったり、お葬式など慎むべき場面なのにハイテンションになってしまったりなど、場に不適切な態度や行動をとってしまう傾向にあります。明らかにおかしいと周りが気づくことができるほどの症状が見られます。
この気分障害には大きく分けて2つの病気があります。1つはストレスが主な原因となるうつ病性障害、もう1つは遺伝子的な体質が原因と考えられている双極性障害です。
程度は違えどストレスは誰でも感じるもので、健康な状態の人はストレスをうまく発散させたり解消させたりすることでコントロールし、自身を保っています。しかしうつ病性障害の人はストレスにうまく立ち向かえなくなり、食欲をなくしたり睡眠がうまくとれなかったりという健康危害が現れます。そうしてどんどんひどくなりそのまま治らなくなってしまった状態がうつ病性障害です。うつ病性障害では、ただ気分が落ち込むのではなく、気分が落ち込むことで食事や睡眠がうまくとれないことが多いので体全体の調子が悪くなってしまいます。
うつ病性障害の治療は、休養と薬の服用になります。体を休めることによって精神的な部分からダメージを受けた体を回復させ、また精神安定剤などの薬を服用することで気持ちを落ち着かせます。時にはカウンセリングを受ける、回復傾向に見られたら徐々に薬を減らしていく、何か新しいことに挑戦するなどの前向きな姿勢を保ち、時間をかけて治療をしていくことが必要です。
双極性障害とは躁とうつの両方が出現する病気です。躁のときは必要以上に元気になり、気分が爽快で楽しくて仕方がないという状態になります。そのため多弁で早口になりますし、疲れ知らずなのかと思われるほどに活発に活動します。自分を過大評価したり、あまり現実的ではない大きなことを言いだしたりする人もいます。しかしちょっと口をはさんだり批判的なことを言うだけで必要以上に怒り出したり、仕事をしていても気が散って集中ができなくなります。
そして躁状態からうつ状態になると、今度は活発性が失われ、必要以上に落ち込んだり中には自傷行為に及んだりします。浮き沈みが激しく、自身をコントロールするのが難しくなってしまうのです。
双極性障害の治療では、入院という形をとる場合が多々あります。薬を投与しながら十分に休養をとらせ、回復を待ちます。突然怒り出すこともあるのでカウンセリングは慎重に行う必要があります。
激しく気分が落ち込んでいるために身体に不調が出ていたり、気分の上下動が異様に激しかったりする場合は、うつ病や双極性障害を疑ったほうがいいかもしれません。気分障害の兆候が見られたら、早めに病院を受診しましょう。