失語症の治療内容は病状によって違うって本当?

2017/11/10

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

会話をしようとしても言葉がうまく出てこなかったり、相手の言っていることが理解できなかったりする「失語症」。タイプによってさまざまな病状がありますが、病状によって治療内容は違ってくるのでしょうか?

失語症は何が原因で起きるの?

失語症は言語障害の一種です。脳の言語中枢がなんらかの損傷を受けることによって起こる病気で、相手が話している内容を理解するのが難しくなったり、自分から言葉を発することが難しくなったりします。これにより、他者とのコミュニケーションが難しくなってしまいます。

脳の働く部分は「体を動かす」「記憶する」「理解する」など指令の内容によって異なりますが、失語症の場合、言語に関連する指令を出す部分に損傷を受けることが大きな原因となります。事実、この病気を発症している人の約9割は脳卒中患者と言われています。交通事故によって脳を損傷した人が発症することもありますが、脳卒中患者が発症する割合が圧倒的に多いため、比較的若い人よりも中高年世代がこの失語症に悩まされているケースが多い傾向にあります。

なお、失語症は、ストレスなど精神的ショックからくる病気と勘違いされがちですが、それは失声症のことであり失語症とは別物です。

どんな方法で治療するの?

失語症には大きく分けて2つのタイプがあります。人の話を理解したり、本を読解したりすることが困難になる「ウェルニッケ失語」と、人の話を理解することができても自分が発信することができない「ブローカ失語」です。どちらのタイプなのかによって治療方法は変わっていきます。

まず、ウェルニッケ失語の場合はコミュニケーションそのものに問題があるわけではありません。多少たどたどしさがあったとしても言葉を発することはできます。しかし問題なのはその内容で、相手が言っていることが理解できないので会話が成立しません。その上自分が発している言葉の意味も理解できていないことがあるので、意味不明な話をしてしまうことがあります。こういった場合はまず、言語の理解を回復させることが必要です。そのため、話す練習というよりは言語を理解する練習が必要になります。

それに対しブローカ失語は、言語の理解はできているので、あとは単語を組み立てて文章にする練習や、それを言葉にして発する練習を行います。

代表的な病状と治療内容

失語症はその病状によって治療法が変わります。例えば発音動作に障害があるという場合には、訓練士の口の動きをしっかり見せたり、鏡で自分の口の動きを見せたりします。そして確認をしながら発音動作を練習していき、1文字の単語から複数文字の単語へと徐々に難易度を上げて言葉を発する練習をします。

言語の理解が困難な人については、単語を覚えても意味が理解できなかったり他の単語との区別ができなくなったりするため、絵が描かれたカードなどを使って単語の物を同時に覚えて理解する訓練を行います。

そして、失語症の病状がかなり重い人には、言語訓練よりも最初にコミュニケーション力の回復をはかります。患者の趣味や過去の話など、患者さんが話しやすい内容でコミュニケーションをとり、脳の状態を落ち着かせます。会話だけではなく一緒に写真を見たりするのも効果的です。回復が見られれば徐々に言語訓練にシフトさせていくことができます。

おわりに:失語症の病状や重症度に応じて治療内容は異なる

失語症の中でも、ウェルニッケ失語なのかブローカ失語なのか、そして重症度はどれくらいかによって、とられる治療法は異なっていきます。専門の医療機関で、患者さんの病状に合わせた適切な治療を行っていきましょう。

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