記事監修医師
メディアージュクリニック青山、皮膚科
田中 美帆 先生
2018/3/23 記事改定日: 2020/1/10
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記事監修医師
メディアージュクリニック青山、皮膚科
田中 美帆 先生
脂腺母斑(しせんぼはん)とは、触るとわかる程度のザラザラした凹凸状のアザのことです。年齢が進むと腫瘤になることもあり、頭皮にできると脱毛したように見えるので、コンプレックスを抱えることになる可能性があります。
この記事では脂腺母斑の症状や治療について解説しています。
脂腺母斑(しせんぼはん)とは、黄色くざらざらした感触の母斑(あざ)のことです。出生時や幼少時にでき、成長するにつれて少しずつ隆起するように盛り上がったり褐色調になります。
年齢を重ねるにつれ大きくなることがありますが、ほとんどは良性です。
ただし、悪性化しないというわけではありません。
腫瘍化したものに関しては皮膚がんのリスクもあるため、一般的には若い年齢でも外科的手段を用いた治療方法が選択されます。
脂腺母斑の症状は、大きく分けて新生児から乳幼児、思春期以降、成人から30代以降の3つにわけられます。
出生してから乳幼児の場合では、肌の色合いに近く触れると多少ざらつきます。母斑は成長するとともに少しずつサイズが大きくなり、凹凸もはっきりしてきます。
また頭部にあざができるとその部分だけが禿髪になるため、思春期においては容姿にコンプレックを感じることも多いようです。また、急速に成長し、かゆみを伴い、ひっかいてしまうことで出血するなどの症状に加えて、凹凸があるため散髪するのに支障がでます。
30代以降は、脂腺母斑表面に腫瘍が発生する場合があります。ほとんどは良性ですが、10%ほどの確率で悪性腫瘤が発生すると指摘されています。
脂腺母斑にできる腫瘤の多くは良性の腫瘍ですが、まれに基底細胞がんなどに悪性化することもあります。一般的には30代頃に発症することが多いとされていますが、中には小児期に発症することもあるとされています。年齢に関係なく脂腺母斑に次のような変化が見られるときはできるだけ早く病院で相談しましょう。
脂腺母斑の治療では、手術での切除が一般的です。広範囲にある場合は、患部の周囲にある皮膚組織を利用する皮弁移植術や、お尻などの他の部位から皮膚を移植する植皮術をとることもあります。
切除後には、縫合跡や瘢痕(傷が治った跡にできる跡)が残るため、患部に合わせた縫合手術方法が行われます。
現在は、頭部の脂腺母斑への治療方法としてシリコン製バッグによる組織伸展器を用いるケースが増えているといわれています。
これは患部の周囲にある頭皮や皮膚を拡張させることで皮膚面積を拡大し、脂腺母斑の切除後の瘢痕を最小限にするとともに禿髪を目立たなくする治療法です。
脂腺母斑のほとんどは良性ですが、まれに悪性化する可能性があります。見た目のコンプレックスにつながることも考えられるので、適切なタイミングで治療ができるように医師と相談することをおすすめします。