記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2017/12/15 記事改定日: 2020/3/23
記事改定回数:1回
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
エプーリスとは、女性に多いといわれている歯ぐきのできもののことです。深刻な状態になることはありませんが、状態によっては潰瘍になることがあるのでわずらわしいです。この記事ではエプーリスの原因や症状について解説しています。
エプーリスとは、20~30代の若い女性の発症例が多い歯ぐきにできる良性の限局性腫瘤のことです。
歯ぐきに丸型や卵型の「こぶ」ができるますが、そのサイズや色、硬さなど「こぶの状態」には個人差があります。歯肉腫とも呼ばれ、炎症性、肉芽腫性、線維性、血管腫性、巨細胞性、骨形成性など様々なタイプがありますが、エプーリスの大部分は炎症性および反応性の腫瘤です。
エプーリスができる原因ははっきりとわかっていませんが、あわない金属冠などによる刺激やプラーク、歯肉炎などの慢性炎症刺激によるダメージがおもな原因と考えられています。
また、若い世代の女性の発症例が多いことや妊娠中に妊娠性エプーリスを発症することから、女性ホルモンによる影響も関係しているとも考えられています。
先天性エプーリスとは、生まれつき歯ぐきに生じている腫瘍のことです。
発生頻度は稀とされていますが、腫瘍が大きい場合は授乳の妨げになることもあります。また、見た目の問題からご両親が不安に思うことも多いため、主治医の判断で摘出手術が行われることも多いです。
この病気は女児に多く見られ、上あごの前歯付近にできやすいとされています。目立ちやすい部位にできやすいですが、摘出手術をすると再発することはほぼないとされていますので、小児科や歯科医師と相談しながら治療を進めていくことが大切です。
エプーリスはタイプによっても異なりますが、腫瘍に触れると痛みや出血などの症状が引き起こされます。
また、腫瘍が大きくなると正常な歯茎や歯が圧迫されるようになるため、歯の隙間が開く・歯が傾くといった症状が現れ、最終的に歯が抜け落ちることもあります。
エプーリスが合っていない金属冠や義歯によるものなら、放置しているとどんどん症状が進行してしまう可能性があります。歯科医院で早めに調整してもらいましょう。
治療が必要と判断された場合は腫瘤自体をレーザーなどで切除しますが、再発を防止するため周辺の組織の切除や抜歯も同時に行われることがあります。
妊娠が原因のエプーリスであれば、通常は出産後に小さくなっていきます。一般的には経過観察となりますが、口内環境を清潔に保つためのケアは必要です。定期的に歯科医院で歯石の除去を行い、普段の歯磨きだけではなく、柔らかい歯ブラシで歯ぐきをマッサージしましょう。
疲れやストレスなどもエプーリスの原因のひとつとされているので、しっかりと体を休めることも治療や予防につながります。
エプーリスの原因は様々ありますが、歯肉炎や合わない金属冠や義歯などの刺激によるものが多いといわれています。予防や治療のためには口腔内を清潔に保ち、あわない義歯がある場合は再調整してもらう必要があります。定期的に歯科医に通院し、歯の健康状態や衛生状態を確認してもらいましょう。