記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/14 記事改定日: 2019/12/20
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
周期性四肢麻痺は急に脱力してしまい体の自由がきかなくなってしまう病気です。
周期性四肢麻痺の症状の現れ方にはどのような特徴があるのでしょうか。
ここでは周期性四肢麻痺も症状について詳しく解説していくので、早期受診に役立ててください。
周期性四肢麻痺は、発作が起きた時に筋力が低下し、身体を思ったように動かせなくなる病気です。
この病気は、発作が起きて数時間から数日間の間は、症状が持続しますが、ずっと続くわけではなく自然に症状が改善し、また、何らかのきっかけで筋力が低下するという発作が起こります。発作間隔は不定期です。
周期性四肢麻痺の患者数は把握できていません。それは、症状の程度に差があり、わずかな症状の人は、自分が周期性四肢麻痺だという自覚がないからです。
症状が軽い場合には、生活に支障をきたすことはありません。
周期性四肢麻痺は、血中のカリウム濃度の異常によって引き起こされます。
血中カリウム値の異常はバセドウ病などの甲状腺機能亢進症や脱水、多量の嘔吐・下痢などによって電解質バランスが乱れることによって引き起こされることが多く、とくに日本人の周期性四肢麻痺はこのような病気が誘因となるタイプが多いです。
一方、これらの病気がない場合でも、遺伝的に細胞にカリウムを取り込む仕組みに異常がある場合も血中カリウム値の異常が見られ、周期性四肢麻痺を引き起こすことがあります。このようなタイプのものは「遺伝性周期性四肢麻痺」と呼ばれ、厚労省から難病の指定を受けています。
周期性四肢麻痺の症状の特徴は、急に脱力してしまうことです。ただ、症状の度合いについては、動くことはできるが明らかに通常とは違う筋力低下を起こしている実感があるものから、完全に動かなくなるというものまで個人差があります。
高カリウム性周期性四肢麻痺は、カリウムの多量摂取、運動後の安静、寒冷、妊娠が誘引となり、朝食後に発作を起こし、15分から1時間程度続いた後症状がなくなるという特徴があります。
低カリウム性周期性四肢麻痺の発作は早朝や夜間に起きやすく、激しい運動、炭水化物の大量摂取、アルコールの取り過ぎ、精神的なストレスが誘因となります。
たくさん食べて、たくさんお酒も飲んで寝たら、朝には身体が動かないというような症状があるときは周期性四肢麻痺かもしれません。
周期性四肢麻痺では以下のような症状や身体の変化が生じます。当てはまる項目が多い場合は、放置せずに病院を受診して検査を受けましょう。
周期性四肢麻痺の中で遺伝子の変異によって生じるものは、根本から治すことはできません。
そのため、この病気をもっている人は、生活の中で発作が起きないように気をつける必要があります。
まずは、自分がどのような行動をとった時に発作を起こすのかということを調べ、誘因となる行動をしないように注意しましょう。特定の食べ物が原因であれば、その食べ物は食べないようにし、運動のし過ぎが原因であれば、長時間の運動は行わないようにして、激しい運動は避けるようにします。
また、寒冷が原因の場合には急激な温度変化を避けるような対策をします。
低カリウム血症の場合にはカリウムを投与し、高カリウム血症の場合には発作時に糖質の投与をしたり、薬剤を使用することもあります。
周期性四肢麻痺の原因は遺伝子の異常が関係していると考えられていますが、完全に解明されたわけではありません。完治させる治療法がないため、発作が起こる誘因行動をさけ、日常生活で発作が起こらないように対策することが重要です。