記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脊髄小脳変性症はなんらかの原因で神経細胞が破壊され変性することで起こる運動失調症状の総称です。脊髄小脳変性症の症状や治療方にはどんなものがあるのでしょうか。この記事では脊髄小脳変性症の症状や原因、治療について解説しています。
脊髄小脳変性症とは、小脳および脳幹から脊髄にかけての神経細胞が徐々に破壊され消失してしまう病気で運動失調を主症状とする神経変性疾患の総称のことを言います。
脊髄小脳変性症は一つの病気ではなく、運動失調症状をきたす神経細胞変性による病気の総称です。
脊髄小脳変性症は、孤発性(非遺伝性)疾患と遺伝性疾患の2つに分類することができ、さらに後者は常染色体顕性遺伝型、常染色体潜性遺伝型、まれではあるものの性染色体連鎖型に分けることができます。
孤発性(非遺伝性)の脊髄小脳変性症が全体の60~70%を占めており、遺伝性の脊髄小脳変性症は全体の30~40%を占めているといわれています。
脊髄小脳変性症の症状は細胞の障害の程度や障害が起きる場所によって差があり、症状はたいへんゆっくりと進行していくことが特徴です。
立ったときに不安定でふらつく、片足立ちが出来ない、歩行時にふらつく、平均台の上を歩くようにして歩けない等の体幹(体の中心部)のバランスが不安定になるなどの運動失調と呼ばれる症状が現れます。
また、立ったときに目の前が暗くなる(起立性低血圧)、ひどいときは気を失う(失神)、残尿感がある、尿がでにくい、何回もトイレに行きたくなる等の自律神経症状があらわれる場合もあります。さらに、パーキンソン病と同じような症状を示す病態であるパーキンソニズムを伴うことが多くあり、その場合には、手足のふるえ、筋肉のこわばり、歩行障害などの症状があらわれます。
脊髄小脳変性症の原因は判明しておらず、現在、多くの研究者が遺伝子と神経細胞変性との因果関係の解明に取り組んでいる段階です。
脊髄小脳変性症は、家族で同じ病気になることも多いことから遺伝が関係していると考えられています。ただし、すべての原因が遺伝子によるものであると断定することはできません。
脊髄小脳変性症は、発症の原因わからないため根本的な治療方法が確立されていません。そのため、対症療法的に対応するのが一般的です。症状に対処するための薬物治療と並行して運動機能のリハビリを行うことが大切となります。
例えば、運動失調に対しては、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン製剤であるプロチレリン酒石酸塩、TRH誘導体が薬物治療として用いられますが、積極的、継続的に歩行を促し、リハビリテーション、とくに理学療法(バランス訓練、歩行訓練)も並行して行われ、運動機能が回復するように治療が行われます。
脊髄小脳変性症は発症のメカニズムが解明されていないため、根本治療の方法が未だ確立されていません。そのため、対症療法に併せて運動機能のリハビリを続けていくことが重要になります。医師の指示に従いながら、気長に取り組んでいくようにしましょう。