筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状に対処するには

2017/11/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、50歳以上の高齢者に多いとされていますが、若い世代の発症者もゼロではありません。ある程度研究は進んでいますが、原因もまだ解明されていないため根治が困難な病気です。この記事では筋萎縮性側索硬化症の症状や治療を解説していきます。身近な人が発症したときの心構えをするために役立てください。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは?

筋萎縮性側索硬化症は、アミノ酸の一種とされるグルタミン酸が興奮性の神経伝達物質としてニューロンと呼ばれる神経細胞に過剰な刺激を及ぼす事により発症するとされ、急速に病状が進行し死に至ってしまうケースが多い難病ですが、明確な発症原因が解明されておらず根本的な治療法も確立されていません。

筋萎縮性側索硬化症は、10万人に対して2人~6人が発症し、50歳以上の発症リスクが高く特に60歳代と70歳代の発症リスクが高いといわれています。ただし、若い世代が発症しないわけではないため注意が必要です。

どんな症状があるの?

筋萎縮性側索硬化症は、筋力低下や筋萎縮が主症状です。
脳から下位運動ニューロンに命令を伝達する上位運動ニューロンの障害と上位運動ニューロンの命令を筋肉などに伝達する下位運動ニューロンの障害による症状に分けられます。

上位運動ニューロンの障害は、球麻痺型と呼ばれ、言葉を正しく発音出来なくなる構音障害や飲み込めなくなる嚥下障害、舌の筋の萎縮などの症状を発症させます。
下位運動ニューロンの障害は、四肢型と呼ばれ、四肢の筋力低下や筋萎縮、筋繊維の収縮性の低下などの症状を引き起こし、物を落としやすくなったり、歩行しにくくなるなどの症状を発症させます。

筋萎縮性側索硬化症は眼球運動障害や膀胱障害、直腸障害、感覚障害は発症しないとされ、これら4つの症状を筋萎縮性側索硬化症4大陰性徴候と呼びます。

筋萎縮性側索硬化症が進むと、症状は悪化するの?

筋萎縮性側索硬化症は、根本的な治療法が確立されていない事もあり、1度発症すると快方に向かう事なく病状がどんどん進行してしまう難病です。

筋萎縮性側索硬化症は、発症初期には四肢の筋力低下や筋萎縮、球麻痺症状も比較的軽度で健常者と同様に仕事や食事などの日常生活が1人で出来ますが、症状が進行すると全身の筋肉の筋力低下や筋萎縮が著しく進行してしまうので排泄や食事などが自力で行う事が出来なくなり、介護無しでは日常生活が出来なくなります。

さらに進行すると嚥下障害や構音障害も重症化するので通常の食事やコミュニケーションが完全に出来なくなり、最終的には呼吸を司る筋肉にも重篤な筋力低下や筋萎縮が引き起こされ呼吸不全を発症してしまいます。

筋萎縮性側索硬化症への対処法について

筋萎縮性側索硬化症は、グルタミン酸が興奮性の神経伝達物質として過剰に作用する事で発症することからグルタミン酸拮抗剤リルゾールが治療で使われます。

リルゾールは病状の進行を遅らせる為の薬剤のため、筋萎縮性側索硬化症の多様な症状を軽減する為の対症療法があわせて必要になります。

例えば、動きの悪くなった四肢や痛む関節には定期的なリハビリ、不安定な精神状態には精神安定剤や睡眠薬、嚥下障害には流動食や点滴などによる栄養補給が行われています。

構音障害に対しては、コミュニケーションボードや重度障害者用意思伝達装置によるコミュニケーション手段の準備と練習が必要とされ、呼吸困難に対しては人工呼吸器の装着や気管切開などの対処法がとられ、筋萎縮性側索硬化症を発症したときから治療プランを作成する必要があります。

おわりに:筋萎縮性側索硬化症は症状を遅らせる治療と対症療法の組み合わせが必要

筋萎縮性側索硬化症は根治治療が難しい病気です。そのため、治療の中心は病気の進行を遅らせる治療と症状に対処する治療をあわせて行うのが中心になります。患者と意思疎通を行うためのコミュニケーション手段の準備も必要です。もし家族など身近な人が発症した場合は、医師と相談しながらできるかぎりの対策をとりましょう。」

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