慢性硬膜下血腫と急性硬膜下血腫には、どんな違いがあるの?

2017/11/10 記事改定日: 2019/5/10
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

硬膜とは頭蓋骨の内側にある脳を守る膜のことです。この硬膜の内側に血が溜まり固まって「血腫」ができることを硬膜下血腫といいます。この記事では、急性硬膜下血腫と慢性硬膜下血腫の基礎知識について解説しています。

急性硬膜下血腫と慢性硬膜下血腫とは?

硬膜は頭蓋骨の内側にある膜であり、この硬膜の内側で出血した血液が溜まって固まったものを硬膜下血腫といいます。
硬膜下血腫には、急性と慢性の2種類がありますが、どちらも大変危険な病気です。以下にそれぞれの違い、特徴、原因、そして治療法をまとめました。

急性硬膜下血腫

頭を打つなどの外傷が原因で硬膜の内側で出血が起こると、出血した血液が硬膜の直下で脳と硬膜の間に溜り、短時間のうちにゼリー状にかたまって、脳を圧迫します。これが急性硬膜下血腫です。

大脳の表面にできることが多いですが、ごくまれに左右の大脳半球の間や小脳表面(後頭蓋窩)にできることもあります。

頭部の外傷が原因で脳の表面に脳挫傷が起こり、そこの血管が損傷されて出血し、短時間で硬膜下に溜まるというメカニズムで発生するものが大半ですが、脳自体の損傷はあまり強くなくても外力で脳の表面の静脈や動脈が破綻して出血し、血腫を作ることもあります。

転落、交通外傷、殴打などが原因になるため、あらゆる年齢層にみられますが、とくに高齢者に多くみられます。小児ではまれですが、虐待による頭部外傷が原因の発症例が報告されています。

強い外傷が原因の場合は損傷も大きくなるため、意識障害などの深刻な症状が現れることが多く、昏睡状態に陥ることも少なくありません。また、初期のころは軽症であっても、一旦意識障害が出始めると一気に悪化することもあるので注意が必要です。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫とは、頭部に外傷を負ってから1ヶ月から2ヶ月ほど後に硬膜と脳との隙間に血が貯まり血腫となるものです。
高齢の男性に多く、様々な症状がみられますが、頭部に軽い外傷を負ってから3週間以降に頭痛、片麻痺(歩行障害)、精神症状(認知症)などを発症します。

年間発生額度は人口10万人に対して1~2人とされ、酔っていたりして頭部外傷があったかどうかわからない場合も1割から3割程度いるといわれています。

好発部位は前頭部、側頭部、頭頂部であり、右か左かの一側性のことが多いのですが、両側性に見られるケースもわずかですがあるようです。脳と硬膜を繋ぐ「橋静脈」が損傷することで硬膜下に髄液などと混ざった血性貯留液が少しずつ被膜を形成しながら血腫に成長するといわれています。

急性硬膜下血腫と慢性硬膜下血腫の治療方法の違いは?

急性硬膜下血種と慢性硬膜下血種ではそれぞれ以下のような治療が行われます。

急性硬膜下血腫

急性硬膜下血腫は、頭部外傷などによって急激に血種が形成され、脳を圧迫するようになるため発症後はなるべく早めに手術を行って血種を取り除く必要があります。

手術方法は、血種のある部位の頭蓋骨と硬膜を大きく切開し、血種を除去し、出血源がある場合には止血処置を行います。また、脳が腫れている場合には血種を除去した後にも頭蓋骨の一部を外したままにして脳圧を下げる処置が行われることがあります。

手術は全身麻酔で行い、身体への負担が大きな治療となります。また、手術操作によって脳の一部にダメージが加わることで麻痺や脳機能障害などを引き起こすリスクや、髄膜炎などの感染症を発症するリスクもあり、術後も慎重な経過観察が必要となります。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫は生命に関わることはまずありません。このため、急性硬膜下血腫のように超緊急で治療を行う必要はなく、手術自体も頭蓋骨と硬膜の一部に小さな穴をあけて、チューブを挿入し、溜まった血液を吸引する方法がとられます。
部分麻酔で行うことがほとんどで、多くは一時間以内の短時間の手術となります。しかし、術後の感染や出血などのリスクを伴うこともあります。

おわりに:急性、慢性ともにどちらも早期に適切な治療が必要。疑わしいときはすぐに病院へ

硬膜下血腫は、急性も慢性も頭部の外傷が主な原因になります。たとえ硬膜下血腫の症状が現れてなくても、血腫が成長を続けている可能性もゼロではありません。頭を打ったときは軽くであっても念のため検査してもらうようにしましょう。
また、検査したときに正常でも後々血腫が大きくなることもあるので、疑わしい症状があるときはすぐに病院を受診してください。

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