耳管機能不全とは ~ 「耳管狭窄症」と「耳管開放症」が主な病気 ~

2017/11/13

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「耳が詰まったような違和感がある」「ときどき耳鳴りがする」などの症状を感じた経験はありませんか?もしかしたらそれは耳管機能不全という病気かもしれません。ここでは耳管機能不全の症状や原因、治療法についてご紹介します。

耳管機能不全とは

標高の高いところに行ったときや、潜水中に耳が詰まったような違和感を感じたことはありませんか?唾を飲み込んだり、鼻をつまみながら息を吐き耳抜きをすることで解消することがほとんどですが、そのような対策をとっても症状が治らず持続してしまう場合「耳管機能不全」という病気が疑われます。

耳管機能不全は、「耳管狭窄症」と「耳管開放症」の2種類に分類されます。

耳管狭窄症

鼻と耳をつなげる短い管状の器官を「耳管」と言います。普段はふさがっていますが、唾を飲み込むなどの動作で一瞬だけ開くようになっています。
耳管狭窄症とは何らかの原因でこの耳管がずっと塞がれたままの状態になってしまうことを言います。

耳管開放症

耳管狭窄症が耳管が塞がれ続ける病気であることに対し、耳管開放症は耳管が開いたままの状態になってしまう病気です。耳管開放症は、女性に発症しやすい病気と言われています。

耳管機能不全の症状

耳管狭窄症

特徴的な症状の一つとして、耳閉感といって耳奥に何かが詰まっているかのような違和感や不快感が挙げられます。もう一つは、自分の話す声が大きく響いて聞こえる自声協調です。この二点が発症者によく見られる症状ですが、この他にも耳鳴りや難聴、耳管狭窄症によってメニエール病などを併発している場合はめまいなどの症状が起こります。

耳管開放症

耳管狭窄症と症状は類似しており、耳閉感や自声協調、耳鳴りなどが挙げられます。その他、自分の呼吸音が耳に響いて聞こえるなどもあるようです。また、頭を下げると症状が軽減する場合もあります。

耳管機能不全を発症する原因は?

耳管狭窄症

発症原因には、風邪による耳管内の炎症や鼻副鼻腔炎による後鼻漏、耳管付近にあるアデノイドの肥大などが挙げられます。その他、上咽頭腫瘍などの腫瘍性病変によって発症することもあるといわれています。

耳管開放症

耳管開放症の原因の一つに、ストレスが挙げられます。
男性の場合、正常な人と比べて頭痛やたちくらみ、手足の冷えなど末梢循環の障害がある人や、神経質な人など精神面に障害がある人に耳管開放症の発症例が多いといわれています。
女性では、寝つきが良くない、深く眠れないなどの睡眠障害がある人、たちくらみや顔色が悪いなどの抹消循環障害がある人、過度に神経質など精神面に障害を持つ人などの発症例が多くみられます。

耳管機能不全はどのように治療する?

耳管狭窄症

治療は一般的には耳鼻咽喉科で行います。鼻炎や副鼻腔炎など原因となる疾患に対しての治療が中心となり、耳管への直接的な治療としては、鼻からカテーテルを通して耳管に当て、中耳に空気を入れる耳管通気療法が有効と考えられています。
耳管の粘膜部分に炎症が起こっている場合は炎症を抑える薬が処方され、耳管内に鼻水など液が入り込んでしまっているときには粘液溶解剤の併用が検討されることもあります。完治までに時間を要することが多いので、気長に治療を続けることが大切です。

耳管開放症

症状が軽い場合は経過観察でしばらく様子をみることが一般的ですが、軽度でも治療を施す場合は、体重コントロールや耳管に生理食塩水を注入する点鼻法が行われることが多いようです。
症状が進んでいる場合には耳管の開口部に注射を打ち膨れさせて開口部をせばめる方法をとり、さらに重症の場合は鼓膜から耳管にシリコン製のピンを挿入する手術治療を行うこともあります。

おわりに:いつもとは違う聞こえ方や耳閉感などを感じたら要注意

耳管狭窄症と耳管開放症は、原因や治療法には違いがありますが、症状は類似しています。どちらも悪化すると完治までに時間を要するケースが多いため、耳が詰まったように聞こえたり耳鳴りがしたりなどいつもと違う違和感があれば、すみやかに病院を受診するようにしましょう。

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