記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/13 記事改定日: 2020/4/15
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「耳が詰まったような違和感がある」「ときどき耳鳴りがする」などの症状を感じた経験はありませんか?もしかしたらそれは耳管機能不全という病気かもしれません。ここでは耳管機能不全の症状や原因、治療法についてご紹介します。
耳管は中耳腔と上咽頭鼻をつないでいる管状の器官です。つばを飲み込むときに開いて中耳腔圧を調節して、鼓膜に正しく音(振動)が伝わるのを助ける働きを持っています
「耳管機能不全」は、耳管が開いたり閉じたりする機能に不具合が起きることで発症し、
「耳管狭窄症」と「耳管開放症」の2種類に分けられます。
耳管機能不全の代表的な症状には、以下があります。
耳管狭窄症では、耳が詰まる・声がこもるといった症状が現れ、重症な場合には音の聞こえが悪くなることもあります。
また、耳管が開かない状態が長く続くと中耳炎を引き起こし、耳の痛みなどの症状が現れることもあります。
耳管開放症では、耳が詰まったような感覚や耳鳴りなどの症状が現れます。また、自分の声が通常より大きく聞こえたり、呼吸の音が耳に響くように聞こえたりすることもあります。
これは、耳管が開いたままになることで、のどで発せられる声がダイレクトに耳の中に響くためと考えられています。
また、重症な場合にはめまいや難聴などの症状を伴うこともあります。
耳管機能不全の原因として考えられるものは以下の通りです。
耳管狭窄症の発症原因には、
などが挙げられます。その他、上咽頭腫瘍などの腫瘍性病変によって発症することもあるといわれています。
耳管開放症は、ストレスが原因で発症することが多く、以下のような人に発症例が多いといわれています。
耳管狭窄症の治療は、鼻炎や副鼻腔炎など原因疾患に対しての治療を中心に進められます。耳管への直接的な治療としては、鼻からカテーテルを通して耳管に当て、中耳に空気を入れる耳管通気療法が有効と考えられています。
耳管の粘膜部分に炎症が起こっている場合は炎症を抑える薬が処方され、耳管内に鼻水など液が入り込んでしまっているときには粘液溶解剤の併用が検討されることもあります。完治までに時間を要することが多いので、気長に治療を続けることが大切です。
症状が軽い場合は経過観察となりますが、軽度でも治療が必要と判断されることもあります。治療は、体重コントロールや耳管に生理食塩水を注入する点鼻法が行われることが多いです。
症状がある程度進んでいる場合は、耳管の開口部に注射をして膨れさせ、開口部をせばめる方法をとります。重症の場合は、鼓膜から耳管にシリコン製のピンを挿入する手術治療を行うこともあります。
耳管狭窄症と耳管開放症は、原因や治療法には違いがありますが、症状は類似しています。どちらも悪化すると完治までに時間を要するケースが多いため、耳が詰まったように聞こえたり耳鳴りがしたりなどいつもと違う違和感があれば、すみやかに病院を受診しましょう。