記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ロタウイルスは感染力が強いことで知られています。そのロタウイルスから胃腸炎を発症するとどうなるのでしょうか。この記事では、ロタウイルスによる胃腸炎を発症した場合の症状や治療法など、全般的な情報をお届けします。
ロタウイルスは感染力が極めて高く、ごくわずかな粒子(10~100個)だけでも感染してしまうウイルスです。大きさはノロウイルスの倍くらいあり、主に人から人への糞口感染で感染します。また、汚染された食べ物や水などを触った手から口に入ることで感染することもあり、衛生状態が良くてもロタウイルス感染の予防は難しいといえます。ロタウイルスは主に乳幼児の感染が多く見られ、3~5歳までにはほとんどの乳幼児が感染すると言われています。
ロタウイルスによる胃腸炎の症状は、激しい嘔吐と水様性の下痢を繰り返し、時には発熱を伴うこともあります。また、下痢や嘔吐によって脱水症状が起こったり、意識障害やけいれんが起こったりすると、入院しなければいけない可能性も出てきます。
潜伏期間は1~3日で、発熱や下痢、嘔吐などの症状は3~7日で落ち着きます。なお、先述のとおりロタウイルスの感染者は主に乳幼児ですが、成人してからの感染も認められており、特に高齢者などにも多く見られます。
ロタウイルスによる胃腸炎を発症した場合の特異的な治療法はありません。よって、下痢や嘔吐、脱水などに対する対症療法を行います。脱水症状がひどい場合には、医師の判断のもと、医療機関で点滴の治療が必要です。しかし、下痢止めの薬を服用すると、ウイルスが排出されないために病気の回復を遅らせる可能性があるので、服用しないようにしましょう。
上記でも示したように、ロタウイルスは人から人への糞口感染が主な感染経路とされていますが、感染力が高いことから二次汚染のリスクもあります。よって、手洗いの徹底やおむつの適切な処理、汚染された衣類の次亜塩素酸消毒などによって、感染拡大の予防をすることが大切です。石鹸で手を洗う際には30秒以上のもみ洗い、汚染された衣類は消毒後に別で洗濯するといったことを心がけましょう。
また、ロタウイルスのワクチンを接種することも重要です。ロタウイルス胃腸炎は、初めて感染したときの症状が一番重く、2回目以降は軽くなる性質があります。その性質を活かし、ロタウイルスワクチンを打つことで、ロタウイルス胃腸炎が重症になることを予防することができるのです。ワクチンの対象者は乳幼児であり、2種類のワクチンを任意で受けることができます。ワクチン接種後は、1週間ほどワクチンウイルスが便に排泄されるため、便を扱ったあとは石鹸を使っての手洗いを、しっかり行うようにしましょう。
※ロタウイルスワクチンは、2020年10月1日から定期接種となります。
▼ 厚生労働省 ロタウイルスワクチンQ&A(2020年8月出生の方についての注意事項)
ロタウイルスの感染力は高いため、ほとんどの乳幼児がロタウイルス胃腸炎を引き起こすと言われています。よって、ロタウイルスワクチンの接種や手洗いをしっかり行うことで、感染拡大を予防するようにしましょう。