記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鼻水は体調を知るパラメーターと言われています。鼻水のどのような状態によって体調がわかるのでしょうか。ここでは、鼻水がでる原因や状態別の症状など全般的な情報をご紹介します。
鼻水は、鼻粘膜にある鼻線や杯細胞から分泌された粘液と、血管から染み出てくる浸出液を成分とし、空気中のホコリが混じって形成されます。一般的には毎日約1~2リットルもの鼻水がつくられ、体内に入ったウイルスや菌、体に必要ない不要物を体外に排出する役割を担っています。
口や鼻から細菌やウイルスが体内に侵入すると、初期段階ではくしゃみをすることで体外に吹き飛ばします。これだけでもかなりの数の病原体から体を守れますが、くしゃみだけではすべての病原体の進出を防ぐことができません。そこで、体は鼻水を出すことで増殖する病原体を洗い流そうとします。鼻水は体の防御反応の1つなのです。病原体が多ければ多いほど鼻水も多く出ます。
鼻水の状態は大きく分けて、さらさらの鼻水とねばねばした鼻水の2種類があります。さらさらの鼻水は漿液腺(しょうえきせん)とよばれる場所、粘度の高いねばねばした鼻水は粘液腺とよばれる場所から出ます。色が付いたり粘度が増したりした鼻水はさまざまな体調不良が原因です。以下で鼻水の色や状態に分けて詳しく解説します。
風邪の初期症状ではさらさらの鼻水が大量に分泌されます。また、花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎の場合の場合、体がアレルギー反応を起こして、体内にあるアレルゲン物質を排出するためにこのタイプの鼻水が出ることがあります。アレルギー性鼻炎の原因は細菌やウイルスではないので、鼻水に色が付いたり粘度が増したりすることはないです。花粉症の場合は鼻水のほかに、鼻づまり、くしゃみなどと一緒に症状が現われるのが特徴です。また、寒暖差などにより自律神経が乱れた場合にもさらさらの鼻水が出ることがあります。
風邪で細菌やウイルスが体内に侵入し、症状が進行したときに分泌されることがあります。基本的に無色です。
体内に侵入した細菌やウイルスを退治するために闘い、死滅した白血球や病原体が大量に含まれると黄色い鼻水になります。黄色い鼻水は風邪をひいて数日経った後に出ることが多く、身体が病原体と戦っている証拠でもあります。ただ、長引くと肺炎や気管支炎に移行する場合もあるので、長期間続くときには一度耳鼻咽喉科を受診しましょう。
緑色の鼻水が出る場合、抗菌薬の効きにくい緑膿菌という細菌が増え、膿が混じっている可能性があります。具体的には、ウイルスや細菌が鼻周辺の副鼻腔という空洞に入って炎症を起こし、副鼻腔炎を発症している状態です。
粘膜がひどい炎症を起こすと、血液が混じり、赤や褐色の鼻水がでるとされています。
鼻水のほかに発熱や咳、のどの痛みもでてきた場合は風邪、鼻水が2週間以上続くとアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎の可能性があるので病院を受診しましょう。また、副鼻腔炎が慢性化すると蓄膿症になり治療が必要となります。緑色の鼻水が出たら耳鼻咽喉科を早めに受診しましょう。
体調によって色や状態はさまざまですが、鼻水は体調不良の初期症状として出やすく、病気のサインとなることもあります。蓄膿症やアレルギー性鼻炎の悪化による慢性鼻炎など重症化する場合もあるので、長引く場合は放置せずに早めに病院を受診するようにしましょう。