記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/13 記事改定日: 2018/4/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ワクチンを打つことによって、防げる病気はいくつもあります。生まれたばかりの赤ちゃんが健康に育つためにも、計画的に予防接種を行うことが大切です。ここでは、ワクチンとの上手な関わり方をご紹介します。
赤ちゃんが打てるワクチンには定期接種と任意接種の2種類があります。定期接種は、国や自治体が接種をすすめているもので、定められた期間に接種すれば公費負担で受けることができます。
任意接種は、行政が勧奨するものではなく、保護者や医師の判断によって行われる予防接種です。ロタウイルスやおたふくかぜなど、その数は少なくありません。
定期予防接種には、ヒブや肺炎球菌、またBCGなどさまざまな種類があります。
接種開始時期は2~7ヶ月未満で、4~8週間の間隔で3回接種します。
3回目を終えてからは約7ヶ月以上をおいて1回接種が必要です。
ヒブとは、インフルエンザ菌b型の略称です。
ただし、よく耳にするインフルエンザとは異なる細菌で、乳幼児の感染は重症化を招きます。
たとえば、肺炎や肺血症を引き起こしますが、特に細菌性髄膜炎になると、最悪の場合死亡することもあるといわれています。
接種開始時期は2~7ヶ月未満で、27日以上の間隔をあけて2回、
1歳~1歳3ヶ月までに1回と、計4回の接種となります。
咳などによって感染が拡大し、鼻やのどの粘膜から感染します。
特に乳幼児が罹患すると重症化しやすいので、注意が必要です。
ヒブより、後遺症や死亡の確率が若干高くなっているようです。
結核予防のワクチンがBCGです。
生後5ヶ月~1歳未満までに1回接種が必要です。
乳幼児に感染すると、髄膜炎を引き起こすなど致死率が高くなるため、ワクチン接種がすすめられています。
任意接種には、水痘、おたふく、麻疹や風疹、また肝炎ワクチン(A型・B型)、ロタウイルスワクチンなど、様々な種類があります。
費用は有料となりますが、自治体によって助成金が出される場合もあるため、事前に確認するようにしましょう。
特に、ロタウイルス、インフルエンザワクチンは乳幼児の時期に受けておいた方がいいといわれています。
生後2ヶ月以降に接種可能です。
乳幼児の場合、母子感染により、血液や体液を通してウイルスに感染します。
自覚症状がなく自然治癒することが多いが、ウイルスを保有している人の約10%は肝硬変や肝臓がんに進行するといわれています。
日本国内ではウイルスをもっている母親からの母子感染を防止するためだけに実施されていますが、
諸外国では定期接種となっているものです。
ロタリックス®、ロタテック®の2種類があり、
どちらも生後6週以降から、ある一定の間隔をおいて2~3回の接種が必要となります。
ロタウイルス胃腸炎になると、繰り返しの嘔吐と白っぽい下痢が特徴です。
乳幼児の間で冬に流行しやすく、ほとんどの子どもが一度は感染すると考えられており、
その中の約10%はけいれんや脱水を起こして入院や、まれに髄膜炎になるなど重症化し、
後遺症が残ったり死亡につながるなどのケースもあるようです。
※ロタウイルスワクチンは、2020年10月1日から定期接種となります。
▼ 厚生労働省 ロタウイルスワクチンQ&A(2020年8月出生の方についての注意事項)
生後6ヶ月から受けることができます。
毎年、A型・B型・C型など流行する型が違います。
風邪とは違い、肺炎や脳炎、気管支炎など合併症を引き起こす場合もあるようです。
Hib(ヒブ)、肺炎球菌、B型肝炎などのワクチンは、生後2ヶ月から接種することができます。そのほか、同時期に任意接種で打つことのできるワクチンもあるため、赤ちゃんの時期からしっかりと計画を立てて予防接種を行うことが大切です。
また、予防接種は赤ちゃんの体調が整っていないと行うことができないため、余裕をもったスケジュールの組み立てを心がけておきましょう。接種後、次の接種まで一定期間間隔をあける必要があるワクチンもたくさんあります。いくつかのワクチンを同時接種することも可能なため、すすめ方などわからない点はかかりつけ医に相談してみましょう。
予防接種の目的には、接種する人自身が病気にかからないということだけでなく、かかったときに重症化することを防いだり、周囲にいる人や予防接種が受けられない人を守ったりするということも含まれます。
そして身体の小さな赤ちゃんは、成長するにつれてお母さんからもらった免疫を失っていきます。予防接種は、赤ちゃんが元気に社会へ出るための備えとしても必要といえるでしょう。
予防接種時には、問診の際にお腹を出しやすいよう、
前開きタイプのロンパースなどがおすすめです。
その他、病院によっては服を事前に脱ぐことをお願いされることもあるため、
バスタオルなど大きめのタオルが役立つといわれています。
予防接種による副反応が、見られるワクチンとそうでないものがあります。予防接種後に起こりうる重篤な副反応には、嘔吐や蕁麻疹、アナフィラキシーショック、けいれんなどがあります。
不活化ワクチンの副作用としては、注射部位が赤くなる、発熱するなどが挙げられます。全身反応は注射直後から24時間以内に見られることが多く、脳症のリスクもあるので注意が必要です。
生ワクチンの場合は、接種後24時間以内に発熱することは極めてまれですが、弱毒したウイルスによる感染症状が見られる場合があります。局所的に赤くなっても3~4日で自然回復しますが、気になる場合は冷湿布の処置をしましょう。
また、麻疹(ましん:はしか)ワクチンでは接種後に発疹が出ることがありますが、通常は放置しても問題ありません。ただし、ワクチンを打ったことで通常見られない症状が出た場合は、不安を解消するためにも受診することをおすすめします。
予防接種後24時間以内に37.5℃以上の発熱があり、
他に症状がなく2~3日程度で熱が下がるなどの様子がみられた場合には、
副反応による発熱の可能性が高いといわれています。
予防接種の種類を問わず、副反応によって生じた発熱は数日程度で症状が軽快する傾向があるので、まずは赤ちゃんの熱の具合や様子を見守りましょう。
その後も3日以上発熱が継続する場合は、副反応による発熱ではない可能性があるので、病院を受診しましょう。
自宅でできる対処法は、主に2つあります。
副反応による発熱の際も、風邪の時と同じように発汗するため、
こまめな水分補給が大切となります。
脱水症状を引き起こさないように気をつけましょう。
保冷剤などで脇や足の付け根を冷やすことで、体の熱を下げてくれます。
その際、額ではなく、脇の下と足の付け根を重点的に冷やし、熱を下げましょう。
予防接種は、赤ちゃんの健康を維持するために利用できる有力な予防法です。完全に病気を防げるわけではありませんが、ほとんどのケースで予防ができ、程度を軽くすることも可能とされています。赤ちゃんの体調の様子を見ながら、上手に活用していきましょう。