乳糖不耐症ってどんな病気?

2017/11/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

赤ちゃんが母乳やミルクを飲むとすぐに水っぽい便を頻繁に出す、大人がたまに牛乳を飲んだあとにお腹がゴロゴロするといった症状は「乳糖不耐症」かもしれません。この記事では、乳糖不耐症の症状や原因、対処法についてお届けします。

乳糖不耐症ってどんな病気?

乳糖不耐症とは、母乳やミルクを飲んだ赤ちゃんがすっぱい臭いのする下痢を繰り返すような病態のある疾患のことです。赤ちゃんや子供に多い病気ですが、大人でも牛乳や乳製品を摂ると必ずお腹を下したり腹部膨満が起こったりと不快な症状がある場合、乳糖不耐症が疑われます。

乳糖不耐症を発症するのはなぜ?

乳糖不耐症には、「先天性」のものと「後天性」のものがあります。それぞれの発症する経緯を解説していきます。

先天性の乳糖不耐症

先天性の乳糖不耐症は、酵素のひとつである「ラクターゼ」の働きが悪いために起こる疾患です。母乳、ミルク、牛乳などの乳製品に含まれる「乳糖」という糖質を吸収するためには、ラクターゼの働きが欠かせません。本来、ラクターゼが小腸でブドウ糖とガラクトースに分解し、腸壁から吸収されて血液中に移行していきますが、ラクターゼが欠乏していると乳糖を消化できないため、腸壁から吸収できない状態になります。その結果乳糖は消化されないまま大腸へ流れ込み、浸透圧性の下痢を引き起こし、腸内細菌によって乳糖が発酵して腹部の膨満状態(腸にガスが貯まる)になります。

後天性の乳糖不耐症

後天性のものは「2次性乳糖不耐症」と呼びます。ウイルスや細菌が原因の急性胃腸炎に罹患した際に、腸の粘膜の機能が低下することで、一時的にラクターゼの働きが不良になり下痢が起こります。

乳糖不耐症かどうかはどうやってわかる?

乳糖不耐症かどうか判断するポイントはなんでしょうか。どんな症状があれば乳糖不耐症を疑ったほうが良いのか、以下で解説していきます。

新生児期または乳児早期

母乳やミルクを飲んだ数時間後から数日以内に著しい下痢をします。

小児

小児では、少量の乳糖を含む食品や飲料の摂取で、水下痢や酸性便(すっぱい臭いの便)、腸がゴロゴロしてガスが貯まる腹部膨満になります。

成人

成人では、乳糖を含む食品や飲料の摂取後30分から2時間前後で急激に排便するほか、腹痛、下痢、腹部膨満、吐き気、腸がゴロゴロ鳴る症状が出ます。

乳糖不耐症の場合、毎日の食事で気をつけることは?

乳糖不耐症は乳糖を含む飲料食品の摂取によって症状が出ます。症状を予防または軽減するためには乳糖の除去が有効とされます。毎日の食事でできる対処法としては以下があげられます。
・母乳、ミルク、乳製品の摂取をやめて様子をみる。
・牛乳の代用として、乳糖分解粉乳や、乳糖分解牛乳を利用する。
・製造過程である程度乳糖の分解される発酵性の乳製品(ヨーグルト、乳酸菌飲料、チーズなど)を摂る。

おわりに:「重要なのはラクターゼの働き」

乳糖不耐症は、ラクターゼという酵素が欠けている、または活性化できない状況で引き起こされます。乳製品を摂取したあとから下痢等の症状がある場合には、乳糖不耐症を疑うことも必要かもしれません。まずは病院での相談をおすすめします。

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