記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/6 記事改定日: 2019/2/4
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「内耳炎」とは、中耳炎などの炎症が内耳に広がることで、耳鳴りやめまい、吐き気、難聴などの症状が起こる病気です。
この記事では、内耳炎の症状や原因、治療法などについて詳しく紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
内耳とは、伝わった振動を電気信号に変換し、脳に伝達する器官です。
人は伝達された信号を脳で処理することで音を認識することができます。
内耳炎は、慢性的な中耳炎や急性中耳炎などにかかるった後に徐々に内耳へ炎症が広がることで発症することが多く、主症状として耳鳴りや難聴、軽いめまいなどの症状が起こり、炎症が進行した場合は耳だれが生じることもあります。
急激に内耳への炎症が進行した場合、ひどい耳鳴りや難聴が起こる場合があります。特に髄膜炎から内耳炎を発症すると重度の難聴になることも多く、治療が遅れた場合、後遺症として残る可能性もあるので注意しましょう。
また、急激に内耳へ炎症が進行すると、自分自身や周りが回ってように感じる回転性のめまいが生じます。めまいが酷いときなどは、吐き気や嘔吐をともなったり、平衡感覚を失いまっすぐに歩くことが難しくなる場合もあります。
中耳炎になった後に、中耳と内耳をつなぐ部分から細菌やウイルス感染などによる炎症が内耳へ進行し内耳炎が起こります。また、慢性中耳炎の一種でもある真珠腫性中耳炎による骨の損傷の際に外側半規管に管状の穴が空き、内耳炎になることもあります。
その他、髄膜炎から内耳へ炎症が進行する場合もあります。非常に稀なケースではありますが、髄膜炎から内耳炎を発症した場合、重度の難聴になる場合もあるので注意が必要です。
必ずしも中耳炎や髄膜炎から、内耳炎を発症するわけではありません。中耳炎になった場合でも、早期に治療を受ければ内耳炎へ進行もしにくくなります。
中耳炎とは、風邪やインフルエンザなどを発症した際に、のどや鼻の炎症から細菌が耳管を通り中耳に進行し炎症を起こすことで、腫れて神経を刺激し痛みが生じ、慢性化したときはめまいや難聴症状が現れることもあります。
内耳炎はおもに中耳炎からの移行によって起こり、中耳炎と内耳炎のどちらも似た症状が起こるので自己判断が難しいです。
いずれにしても、どちらも治療が必要な病気ですので、めまいや難聴などの症状が出ていなくても耳に痛みなどの異常がある場合は早めに耳鼻科を受診するようにしましょう。
内耳炎の治療方法は、まず炎症の原因にもなった中耳炎などの治療を行います。細菌感染によって急性中耳炎から内耳炎を発症した場合は、抗生物質の投与で治療するのが一般的です。
その後、内耳炎と中耳炎を同時に治療します。
内耳の機能低下を回復するため、副腎皮質ステロイド薬やビタミン剤、血流を改善する薬などが併用される場合もあります。
慢性中耳炎による内耳炎盛抗生物質で治療していきますが、真珠腫性中耳炎については手術が検討される場合もあります。
内耳炎の原因が真珠腫性中耳炎の場合、真珠腫を摘出して鼓室を人工的に形成する「鼓室形成術」が必要になります。
鼓室形成術は、中耳内の病変を取り除いて鼓膜を再生したり、鼓膜から伝えられた音の振動を増幅して内耳に伝える「耳小骨」の形成を行うのが主な目的となります。
耳小骨は、ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨と呼ばれる非常に小さな3つの骨が合わさって形成されています。真珠腫性中耳炎ではこの耳小骨の働きが低下したり、構造が破壊することがあるため、聴力の回復には鼓膜の再生だけでなく、自己軟骨や人工骨などで耳小骨の再生も必要なケースがあります。
手術は、耳の後ろを3~4㎝ほど切開して行われますが、術式には5つのタイプがあり、それぞれの重症度に合わせて手術が行われます。
内耳炎を治療するためには、原因となった中耳炎や髄膜炎の治療が必要です。
耳が痛くなったり、耳鳴りがしたり、めまいや難聴などの症状が起きた場合や中耳が長引いている場合は、難聴の後遺症などを防ぐためにも、早めに耳鼻科を受診し、適切な処置を受けましょう。