記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
運動中や睡眠中にこむら返りが起こり、つらい痛みに襲われた経験はありませんか。一時的な症状とはいえ、何度も繰り返すと何かの病気かもと不安にもなります。今回は、こむら返りがおこる仕組みや様々な原因についてまとめました。
こむら返りとは、「腓腹筋痙攣(ひふくきんけいれん)」と呼ばれ、ふくらはぎがつる症状のことです。人間の身体は、筋肉を縮めたり緩めたりといった調節をすることでバランスのとれた動きができるようになりますが、このときは中枢神経からの信号で筋肉が収縮し、筋肉から中枢への信号でどの程度の収縮・弛緩をするのかが決められています。この仕組みの中で、何らかの原因で筋肉が異常な緊張をおこし、縮んだまま緩まない状態になった際に伴う激しい痛みがこむら返りです。
体内の栄養バランスが崩れることがきっかけで、こむら返りがおこる場合があります。
こむら返りになるほとんどの原因が、ミネラルが不足したことで起こる筋肉の異常収縮によるものです。ミネラルは筋肉が縮んだり緩んだりする働きのバランスを取ってくれる大事な栄養素です。日々の食事でこのミネラルを摂取できていない場合や、急な運動で大量の汗をかき、体内の水分が不足した場合でもミネラル不足はおこります。熱性けいれんと呼ばれるこむら返りがおこりやすい夏場は特に、電解質と併せて水分をこまめにミネラルを補給しましょう。
ビタミンの中でも、神経や精神をコントロールしているのがビタミンB群です。このビタミンB群が不足したとき、こむら返りがおこりやすくなると考えられています。
栄養不足だけでなく、神経を使って物事に熱中しているときや過度なストレスによるビタミンB群の消耗にも要注意です。また砂糖や添加物、スナック菓子などに含まれる酸化油の摂りすぎやアルコール類の飲みすぎもビタミンB群の栄養を急激に低下させ、痙攣をおこす原因となります。
骨盤が歪んでいるとなぜこむら返りがおこるのか、その関係性についてご説明します。
女性は妊娠中にこむら返りを経験することがあります。これは、妊娠後期になると胎児が成長し、子宮が大きくなったことにより骨盤を押し広げられ、骨盤が歪んだ状態になるからです。
骨盤に歪みが生じると、筋肉は常に引き伸ばされた状態となります。この伸ばされる状態に対して、ふくらはぎの筋肉は元に戻ろうと反対の働きをすることで足に負荷がかかり、こむら返りがおきやすくなります。妊娠中の場合は、子宮が大きくなったことで血管が圧迫され、下肢からの血液の流れを阻害されることも要因の一つです。
こむら返りは一過性の症状であることが多いですが、中には病気が潜んでいる場合もあります。
糖尿病は、インスリンの量や働きが不足し、血糖値が慢性的に高くなる病気です。喉の渇き、頻尿、身体のだるさ、疲れやすさなどが代表的な症状です。
糖尿病の人は血糖値が高いうえに多尿であるため脱水になりやすく、さらに乳酸がたまりやすいことも関係し、こむら返りをおこしやすいといわれています。睡眠中は汗をかいても水分摂取ができないため普通の人でもこむら返りをおこすことがありますが、夜間によく足がつることで糖尿病に気付く人もいるようです。
こむら返りのほとんどが栄養素の不足によるもので、一時的な症状であることが多いです。しかし、何度も繰り返す場合や、他にも気になる症状がある場合は病気にかかっている可能性もあります。思い当たる節がある人は早めに医師の診断を受けましょう。