記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/19 記事改定日: 2019/12/9
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
尿道下裂とは、尿の出口がペニスの先にできずに陰嚢の途中にできてしまう生まれつきの病気です。この病気になるとどのような症状が起こり、どのようなトラブルに発展するのでしょうか?この記事では尿道下裂の症状や治療法について解説しています。
男の赤ちゃんに起こる、尿の出口がペニス(陰茎)の先ではなく下側(陰嚢側)にできる、生まれつきの病気です。
胎児期のホルモン分泌の異常など陰茎の発達過程で問題が生じ、尿の出口が亀頭の先端までとどかずその手前にできてしまいます。
の2種類に分けられるのが一般的ですが、
のように分類されることもあります。
原因ははっきりとわかっていませんが、近年では環境ホルモンの影響も指摘され、遺伝性はありませんが父親や兄弟にも多くみられます。
尿道下裂は、見た目の違和感にはじまり、さまざまな症状がみられます。
3歳ころまで放置すると、尿道が短く陰茎の途中に出口があるため排尿時に尿が下に飛び散ってしまい、立ったまま用を足すことが難しいことが多くあります。
成人になると陰茎が曲がってしまうため、まっすぐ勃起できず性交に支障をきたすことがあります。
また、生殖器の形態異常は他人に相談しにくいため、成長とともに精神的なコンプレックスを抱えてしまうことも少なくないでしょう。
合併症として、近位型では陰嚢の中に精巣が入っていない「停留精巣」、陰茎が極端に短い「矮小陰茎」などが多く、陰嚢が2つに分かれ女児にみえる「二分陰嚢」などもみられます。
高度の尿道下裂がある赤ちゃんには性の発達が一般的でない性分化疾患の可能性もあるので、染色体検査や精巣機能検査を行ったほうが良いとされています。
尿道下裂の根本的な治療は尿道口を正常な位置に形成する手術しかありません。一般的には生後3~15カ月頃に手術を行います。
通常は一度手術をすれば正常な状態になりますが、成長するにしたがって手術痕が引きつれたりすることで陰茎の形に異常が生じたり、勃起機能が障害されることもあります。
このような場合には陰茎の形を修正するための手術が必要になることもあります。
また、手術後は傷口の感染などの一般的なリスクがあるばかりでなく、痛みのため尿を我慢してしまうことによって尿路感染症を引き起こすこともありますので注意が必要です。
尿道下裂は、赤ちゃんのうちの手術で完治可能な病気です。しかし放っておくと、成長過程で形や排尿の異常が精神的な問題、合併症や感染の原因となったり、成人期には性交の障害になってしまいます。
早目に小児外科や泌尿器科の医師に相談して対処しましょう。