外反母趾とは ― 日本人にも増えている足のトラブル

2017/11/17

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

外反母趾になると足の親指の付け根の骨が突き出すように変形し、痛みを起こします。命に関わるようなトラブルではありませんが、痛みで歩けなくなり日常生活に支障をきたしてしまう可能性があるのです。この記事では、近年日本人にも増えている外反母趾について解説しています。

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外反母趾とは

外反母趾とは、足の親指の付け根の骨が変形して突き出し、親指が約20度以上「く」の字に曲がって人差し指の方に向いた状態のことです。突き出したところに痛みが生じたり、突出部が靴に当たって炎症を起こしたり、進行すると靴を履いていなくても痛むようになります。

外反母趾の大きな原因のひとつは足に合わない靴と考えられています。女性に関しては、ハイヒールが主な原因になっているとされ、発症数も圧倒的に女性に多いです。軽い例を含めると中高年の女性の約半数が外反母趾に悩んでいるといわれています。

外反母趾の原因

上記でも触れたように、外反母趾の主な原因はサイズや幅が合わない靴です。過度に小さいサイズや先幅の狭い靴、極端なハイヒールは、つま先を圧迫し歩行時に関節に負担をかけるおそれがあります。

また、歩き方の癖や姿勢の偏りなどで足の親指側に負担がかかってしまうことも外反母趾を引き起こす原因と考えられています。ハイヒールやサイズの合わない靴が歩き方や姿勢に影響することも多く、外反母趾をさらに悪化させる要因になるため注意が必要です。上記の原因に加え、肥満と筋力低下などが悪化を招くこともあります。

また靴や歩き方に問題がなくても、足や指の形などの遺伝が原因になる可能性も示唆されています。特に10代での外反母趾は、母指が人差し指より長かったり、生まれつき偏平足ぎみであったりするケースが多いという報告もあるようです。

症状の特徴

足の親指の角度が20度以上になると、曲がった親指の付け根が大きく飛び出て、この部分と靴がこすれ痛みが生じます。放っておくと、この足の痛みは悪化し、歩くこともままならなくなります。

重症になると親指が隣の指に重なるようになるためさらに痛みが増し、歩行困難や腰痛などを引き起こすこともあるのです。
外反母趾が直接の原因ではありませんが、足が痛くて歩けないことは運動不足につながります。高齢者の運動不足は、生活習慣病などの原因にもなりかねないので注意が必要です。

治療方法について

対症療法として消炎鎮痛薬(痛み止め)の服用や、テーピングによる親指の固定が行われます。また症状悪化のスピードを抑えるために、足の指をグー、チョキ、パーに開くようなエクササイズで筋肉を強化することも大切です。

変形や症状が強く、さらに進行が予想される場合には、骨をまっすぐに戻す手術を行います。靴を脱いでも常時痛むなど、ある程度以上の骨の変形があって痛みが強い場合には、手術以外の方法では完全な治癒は難しいとされています。

軽度のもの、あるいは変形があっても痛みが少ない場合には、足底板(靴の中敷き:インソール)や睡眠中に装着する装具(母指と人差し指の間に挟む)を工夫して、つま先にかかる負担の軽減化を図る方法があります。また、足に負担が少ない靴に変更するなどの対策も必要になるでしょう。

おわりに:手術が必要になるほど悪化させないためにも、早めに医師に相談しよう

足の親指が曲がり、靴を履かなくても激痛が走るような場合は、外反母趾がかなり悪化していると考えられます。手術以外の治療方法を失いかねないため、早急に受診しましょう。

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