記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/20 記事改定日: 2018/12/3
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
後縦靭帯骨化症は日本人に多いとされる難病です。首の痛みから症状が始まり、手や脚のしびれに発展していきます。しだいに手がうまく動かせなくなり、排尿障害や排便障害を抱えることでひとりで生活をおくることも難しくなってしまいます。この記事では、後縦靭帯骨化症の症状について紹介していきます。
後縦靭帯骨化症とは、頸椎を補強している靭帯組織のうち後縦靭帯が何らかの原因により骨化し肥厚してくる病気です。
骨化した靭帯は、頸椎の可動性を減少させるだけでなく、脊髄を圧迫して麻痺症状を引き起こすこともあります。
ただし、骨の硬化が見られても症状がでない場合もあり、後縦靭帯骨化症ななぜ発症するか原因もわかっていません。
後縦靭帯骨化症を発症すると、最初に首筋や肩甲骨周辺、指先などに痛みやしびれが出てきます。やがて症状が進行すると共に、その痛みやしびれの範囲が徐々に拡大していきます。
悪化が進むと脚にまで症状が現れるようになり、脚のしびれなどの感覚障害から始まり、さらに酷くなってくると足が思い通りに動かすことができない運動障害にまで発展していきます。
指のしびれも徐々に両手に広がっていき、指を使った細かい作業ができなくなっていきます。さらに重症になると、排尿障害や排便障害が現れ、一人での日常生活を営むことができなくなってしまうケースも少なくありません。そして、歩行障害による転倒でケガをすると、それを契機に麻痺症状は急激に悪化することがあります。
後縦靭帯骨化症の明確な発症メカニズムは解明されていませんが、発症には遺伝的な要因が大きく関与しています。また、その他にも、頚部への慢性的な外力が働くことや、炎症、カルシウム代謝異常、糖尿病など内科的な要因も関与していると考えられています。
このため、病気の進行を防ぐには、首に負担をかけない姿勢を心がけ、首に強い外力が加わる危険があるスポーツや動作を避けることが大切です。また、病気を進行させる危険のある糖尿病などの基礎疾患がある場合は、適切な治療を継続しましょう。
後縦靭帯骨化症はX線(レントゲン)側面像で診断可能です。ただ、骨化が小さくX線で確認できない場合は、CTやMRIを使って診断することもあります。
後縦靭帯骨化症の治療は、薬物療法や装具による保存的治療が中心です。
薬物療法としては消炎鎮痛剤や筋弛緩剤等の内服薬が処方され、頸椎が後ろにそってしまわないように頸椎カラーなどで保護することもあります。
このような保存療法で症状の改善がみられず、日常生活が送れないほど重症と判断された場合は手術治療が検討されます。手術は、骨化した部位を切除する方法と骨化下部位はそのままにして脊柱管を拡げる方法の2種類があり、骨化の状態などを考慮しながら方法が選択されます。
後縦靭帯骨化症は、発症の原因がわかっていない難病です。予防は難しく、治療の基本は薬や装具による保存療法で症状を軽くし、神経へのダメージを軽減することが中心になります。根気よく治療を続けていく必要はあり、症状や狭窄の度合によっては手術が必要になることもある病気です。担当医と信頼関係を築きながら、納得のいく治療を選択しましょう。
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