後縦靭帯骨化症とは、どんな病気?日常生活の注意点は?

2017/12/4 記事改定日: 2018/12/3
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

後縦靭帯骨化症は、背骨の椎骨(椎体)の後ろ側を通っている靭帯が分厚く骨のように硬くなり骨化してしまう難病です。
重症化すると排尿や排便に支障をきたし、介護が必要になってしまいます。
この記事では後縦靭帯骨化症の基礎知識と普段の生活や治療における注意点をまとめました。

後縦靭帯骨化症とは

後縦靭帯は背骨の椎体の後面を縦に走行している靭帯です。この後縦靭帯がだんだんと骨のように硬く肥厚してしまい、骨化してしまうことを後縦靭帯骨化症と言います。

なぜこの病気を発症するのかということは詳しくわかっていませんが、男女の比率でいえば2:1で男性に多く、糖尿病を患っていたり肥満体型である人に多く見られるということがわかっています。
また、遺伝的要素があると考えられています。年齢を重ねると発症しやすくなりますが症状が出ない人も多く、今も研究が進められています。

後縦靭帯骨化症の原因

遺伝的要素や肥満が原因の可能性があることは上記でも説明しましたが、この2つの条件を満たしても必ず発症するわけではなく、この他にもいくつかの要因が絡み合って発症すると考えられています。

そのうちのひとつとされるのが年齢で、50歳を超えると発症率が高くなっていくといわれています。

その他にも、ホルモン異常やカルシウムの代謝異常が考えられます。また、自覚症状はなくても転倒などで骨化部分にストレスがかかったときなどは急速に症状が悪化する傾向があるため注意が必要です。

後縦靭帯骨化症の症状と日常生活の注意点

後縦靭帯が骨化しても、初めは全く症状を感じない人も多く、別の検査でX線(レントゲン)撮影して骨化が分かったという人もいます。

最初に出てくる症状は、首筋や肩甲骨・指先などのコリやしびれなどです。進行すると症状は次第に下半身から全身にまで及ぶようになり、足全体がしびれたり感覚がマヒしたり、手指が上手く使えないなどの症状が出てきます。重症化すると歩行が困難となり、排尿・排便障害が起こり日常生活も困難になり介護が必要になります。

ただすべてが進行性という訳ではなく半数以上は症状に変化がありません。ただし、進行性でなくても転倒が原因で神経障害が急速に進むこともあるので注意しましょう。
遺伝的要素がある人、骨化が認められている人は日常生活に気をつけながら、定期的に検査を受けるようにしてください。

日常生活の注意点

後縦靭帯骨化症によって骨化した後縦靭帯が元の状態に戻ることはなく、発症した場合は病気の進行を抑え、症状と上手く付き合っていく必要があります。

症状を進行させないためには、頸部への負担をなるべく少なくするよう、過度な前傾姿勢や頸部の後屈(首をそらす動き)などを避けることが必要です。また、頸部に強い外力がかかる可能性のあるスポーツは避け、転倒には十分注意しましょう。

また、後縦靭帯骨化症は、糖尿病やカルシウムの代謝異常などによっても悪化することが知られています。これらの基礎疾患がある人は、後縦靭帯骨化症を悪化させないためにも適切な治療を続けるようにしましょう。

さらに、後縦靭帯骨化症の症状は変動が大きく、強い痛みやしびれが生じている場合は、できる限り頸部の安静を維持し、病院を受診して検査・治療を受けることも大切です。

後縦靭帯骨化症の治療法

後縦靭帯骨化症がそれほど重度ではない場合は、骨化によって圧迫されている神経を保護するために外固定装具を付けることとなり、痛みがある場合は消炎鎮痛剤や筋弛緩剤等を併用して症状を和らげます。
重度になると外科手術が必要になります。黄色靭帯骨化症や前縦靭帯骨化症を合併することも多いため、治療方針については医師と十分に相談しましょう。

手術では骨化部位を取り除いたり、神経が触らないように脊柱管を広げたりします。手術をして症状が改善されても数年後に再び患部が骨化したり、他の部位に骨化がうつったりすることもあるため、手術をした場合には生涯にわたって定期的な画像検査が必要です。

後縦靭帯骨化症の予後とリハビリ

後縦靭帯骨化症で手術が必要になった場合は、術後の過ごし方にも注意が必要です。術後は10日程度で退院することができますが、術後2週間は安静にし、頚部への負担を極力避ける必要があります。通勤や通学などの日常生活は術後一か月を経過したころから再開することは可能ですが、人ごみに出るときはコルセットを着用するなど、頸部への外力を避けるようにしましょう。
また、術後は頸部の筋力が低下していますので、無理のない範囲で筋力を鍛え、凝り固まった関節の可動域を広げるためのリハビリを行っていきます。

おわりに:症状がない場合や治療が終わった後も注意が必要。定期的な検査を忘れずに

後縦靭帯骨化症は、症状がないものや一度手術して治った場合でも、再発したり転倒などをきっかけに急速に悪化してしまうことがあります。転倒などしないように気をつけることはもちろん、定期的に画像検査をして自分の状態を把握するようにしましょう。

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