記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/17 記事改定日: 2018/12/3
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
頸椎後縦靭帯骨化症とは、首の骨(頸椎)を支えている後縦靭帯が骨化してしまう病気です。痛みやコリなどの症状から始まり、しびれや麻痺などの症状に発展すると日常生活に大きく影響することになります。
この記事では頸椎後縦靭帯骨化症の症状や原因、特に遺伝や体型との関係性について解説しています。
頸椎後縦靭帯骨化症とは、首を支える頸椎に付いている後縦靭帯のしなやかさが失われ、骨のように硬く変化する病気です。
後縦靭帯が骨化すると、首の動きが悪くなり、悪化すると麻痺が起こり生活の質が著しく下がってしまうことになるため、適切なタイミングでの治療が重要になります。
ただ、頸椎の後縦靭帯が骨化したからといって、必ず症状が出るわけではありません。
症状は脊柱運動障害と神経麻痺の2種類があり、片方だけの場合もあれば両方起こることもあります。
運動障害とは体が動かしづらくなる症状のことであり、頸椎後縦靭帯骨化症の場合は頸や背中などが動かしにくくなることから始まっていきます、その後悪化が進むと神経麻痺が進み、腕や指先、下肢の筋肉や血流に影響が起こり、しびれなどを感じるようになり、さらに神経麻痺が続くと手や脚の筋肉まで思うように動かせなくなってしまいます。
服のボタンを留めにくくなったり、足がふらついたりする症状が現れますが、長い期間をかけて、一時的に良くなったり、さらに悪化したりを繰り返します。ただし神経麻痺がさらに進行すると、排尿障害や排便障害になるおそれがあるので注意が必要です。
頸椎後縦靭帯骨化症になりやすい家系があることから、遺伝もひとつの発症要因であるといわれています。兄弟や姉妹の間では、複数人が頸椎後縦靭帯骨化症になる可能性がありますし、一卵性双生児ではもっと可能性が高まります。しかし、親から子へ単純に遺伝するわけではありません。
遺伝的に頸椎後縦靭帯骨化症になりやすい体質だとしても、発症するかどうかは「どのような生活習慣」を送っているかが影響してくると考えられています。
つまり、後縦靭帯骨化症の発症に遺伝的なことは影響しているが、遺伝的な要因があったとしても必ずしも発症するとは限らないということです。
後縦靭帯骨化症の明確な発症メカニズムは解明されていませんが、炎症やホルモン分泌異常、カルシウム代謝異常、糖尿病などの内科的な要因、外傷やヘルニアをはじめとした椎間板疾患などの外力的要因、加齢による変化など遺伝的要因以外にもさまざまな説が挙げられています。
肥満体型と頸椎後縦靭帯骨化症の発症には関連性があるとされていますが、年齢が高くなると関連性が薄くなると考えられています。
ただ、頸椎後縦靭帯骨化症は糖尿病などの糖代謝異常があると起こりやすいともいわれています。頸椎以外でも、胸椎や腰椎の靱帯に骨化症がみられる患者には、糖尿病の持病がある割合が高かったとの研究もあり、何らかの因果関係が存在する可能性があると指摘されています。
とくに若年層では、症状の軽い糖尿病(境界型糖尿病)がある人に、頸椎後縦靭帯骨化症を併発していることが多いようです。
後縦靭帯骨化症の発症には遺伝性があることがわかっていますが、そのほかにも肥満や体型、力学的な負担なども影響しています。兄弟姉妹や親子関係で発症者がいるからといって、必ず発症するわけではありません。
健康的な生活と、首や背中に負担がかからないような生活を送るように心がけるようにしましょう。
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