後縦靭帯骨化症の治療方法とは?定期検査が必要なのはなぜ?

2018/2/15 記事改定日: 2018/12/3
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)は、背骨の中にある後縦靭帯が骨のように硬くなってしまう病気です。
この記事では、後縦靭帯骨化症の治療方法についてや、術後や症状がない、寛解した場合でも定期検査が必要な理由についって解説します。

後縦靭帯骨化症はどんな病気?何が原因で発症する?

後縦靭帯とは脊柱管の中にある組織で、背骨の中を縦に走って存在しています。この後縦靭帯が骨のように硬くなってしまう病気が、後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)です。後縦靭帯が骨になったために脊柱管の内腔が狭くなり、脊髄や脊髄から出ている神経根が押されて、感覚障害(しびれなど)や運動障害(動きが悪くなる)といった神経症状を引き起こします

ただ、後縦靭帯の骨化が始まっても実際に症状が出るのは一部の人だけです。
後縦靭帯骨化症は、50歳前後で発症する人が最も多く、男性の方が女性より2倍発症しやすいと言われています。また、糖尿病や肥満がある人も発症しやすいという特徴があります。

後縦靭帯骨化症の保存療法について

後縦靭帯骨化症の治療は、まずは保存療法で症状を抑えることから始まります。
保存療法のひとつが投薬治療で、痛みやしびれといった症状に対して鎮痛薬や神経再生薬を使用します。

鎮痛薬としては、NSAIDsが処方されることが多く、神経再生薬ではビタミンB12が用いられます。そのほかの治療法として、骨になった後縦靭帯に頸椎カラーを装着することで、首を固定して安静を保つ方法があります。後縦靭帯骨化症は首を後ろにずらしたり、転倒したりするときに症状が強く出てしまうことがあるため、固定して症状の悪化を防ぎます。

また、リハビリも保存療法です。リハビリでは温めて痛みを和らげたり、超音波で治療する方法があります。

どんな状態になると手術が必要?手術はどうやって行われる?

後縦靭帯骨化症では、首や腕、手の痛み・しびれが生じます。症状が軽度なうちはコルセットを着用して頸部の安静を維持しながら、鎮痛剤などの薬物療法が行われます。

しかし、これらの対処療法で症状が改善せず、日常生活に大きな支障を来たしている場合や、脊髄への圧迫が強まることで強い麻痺症状が出たり、排尿や排便に障害が見られるような場合には手術によって脊髄への圧迫を解除する治療が必要になります。

手術方法は、病変部や病変の大きさなどによって異なりますが、多くは「椎弓形成術」と呼ばれる術式が選択されます。椎弓形成術では、首の皮膚を後から切開し、椎弓を真ん中で切開して脊髄への圧迫を解除する方法です。顕微鏡を用いて行うため、傷口や神経へのダメージを最小限に抑えることができます。

一方、病変部が大きく、椎弓形成術では脊髄への圧迫を完全に解除できない場合には、首の前側から皮膚を切開して骨化した後縦靭帯を切除する「前方到達法」が行われます。

治療後も経過観察・定期的な検査を続けることが大切

後縦靭帯骨化症は、後縦靭帯が骨になっているからといって必ず症状が出るわけではありません。しかし、発症した後は定期的にレントゲン検査を受けるなどして病状をしっかりチェックする必要があります。

一般的には、病状が急激に進むことは少なく、症状が出始めても急激に進行することはあまりありません。今後、病状がどのように変わる可能性があるかを主治医を相談してから、治療法を考えていきましょう。

ただ、手術療法などの治療が完了した後でも、数年から10年後に別の部位に新たな症状が出てくることがあります。このため、一度この病気を発症した人は、生涯にわたって後縦靭帯骨化症の再発がないかをチェックする必要があります。

おわりに:後縦靭帯骨化症の保存療法では、投薬やリハビリなどが行われる

後縦靭帯骨化症は手術で治療することもありますが、鎮痛薬や神経再生薬を使った投薬治療やリハビリといった保存療法が行われることもあります。どのような治療法を行うかは病状によって異なりますので、主治医とよく相談して決めることが大切です。

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