唾液腺腫瘍とは ~ 耳の下や顎のあたりにできる腫瘍について ~

2017/11/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

耳の下や顎のあたりでこぶのようなものができていたら、疑っていただきたいのが「唾液腺腫瘍」です。今回の記事では唾液腺腫瘍のリスクや具体的な症状、診断方法、治療法などを解説していきます。

唾液腺腫瘍とは

唾液腺腫瘍とは、唾液を作る唾液腺に発生する腫瘍のことです。良性腫瘍と悪性腫瘍のどちらの場合もありますが、良性腫瘍であってもがん化する可能性があります。

唾液腺腫瘍は病理学的に多くの種類があり診断が難しい疾病のひとつで、腫瘍は数年から十数年にかけて徐々に大きくなるものの、腫瘍以外の症状も痛みもありません。しかし、急に腫瘍が大きくなったり痛みが出てきたとき、又は顔面の一部に麻痺の症状などがみられるときは悪性化の可能性が考えられます。

幼児の場合は幼児に多く見られる血管腫と間違われることがありますが、血管腫は成長と共に徐々に小さくなっていきます。一方の唾液腺腫瘍の場合は小さくなることはありません。

唾液腺腫瘍ができる場所・症状

唾液腺には耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)と呼ばれる大唾液腺と、口腔内にある小唾液腺があります。唾液腺腫瘍の約80%は耳下腺と顎下腺に発生するので、唾液腺腫瘍の代表的疾患としては耳下腺腫瘍と顎下腺腫瘍の2つとなります。

主な症状は耳の下やあごのななめ下辺りに現れる腫れやしこりで、手で触るとよく動く無痛性の「こぶ」のようなものを感じることができます。通常は片側だけに発生することが多いですが、唾液腺腫瘍の5%前後を占める比較的良性なワルチン腫瘍の場合は、両側に発生することもあります。

腫瘍が良性か悪性かを診断する方法は

まず、唾液腺の腫れやしこりは、触診と超音波検査(エコー)やCT検査、MRI検査などで腫瘍かどうかを診断することから始まります。腫瘍と診断された場合は更に良性か悪性かの検査を行いますが、その方法は皮膚から注射針を刺して腫瘍細胞を吸い取り、顕微鏡で細胞を観察する穿刺細胞診断が主流になっています。この検査で95%の確率で良性か悪性かの診断がつきます。

唾液腺腫瘍のうち耳下腺腫瘍はおよそ80%、顎下腺腫瘍の60%は良性腫瘍ですが、しこりが発生してから長期間放置していた場合はがん化してしまう可能性が高くなるので、早めの診断が必要です。舌下腺や小唾液腺の腫瘍の発生率は、これらに比べるとかなり低くなります。

唾液腺腫瘍の治療法

唾液腺腫瘍は良性、悪性のどちらであっても、薬で治すことはできません。悪性腫瘍が疑われる場合は速やかに手術をする必要がありますが、良性であっても放置しておくことは将来的に悪性に変化することがあるので、急ぐ必要は無いものの手術で取り除くことになります。

まず、顎下腺腫瘍の場合は顎下腺の全摘手術となりますが、他の唾液腺があるので唾液の分泌には影響は無く、傷口も首のしわにまぎれこんでしまうためあまり目立たなくなります。一方、耳下腺腫瘍は耳の下から切開し、再発を防ぐため腫瘍を含む周辺の腺組織を切除します。傷口は数か月かかるものの、耳の後ろ側なのであまり目立つことはありません。

おわりに:良性の唾液腺腫瘍であっても、悪性に変化する恐れが!

唾液腺腫瘍は多くの場合良性腫瘍ですが、将来的にがん化してしまうリスクのあるものです。早期切除が非常に重要なので、違和感を感じた時点で耳鼻咽喉科にて診断を受けるようにしてください。

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