耳の下や顎のしこりは唾液腺腫瘍?症状や種類は何がある?

2017/11/20 記事改定日: 2020/9/9
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

耳の下や顎のあたりでこぶのようなものがあるとき、「唾液腺腫瘍」かもしれません。今回の記事では唾液腺腫瘍のリスク、良性と悪性の違い、がん化の可能性、治療法などを紹介していきます。どんな症状が出るか、診断方法も説明しますので参考にしてください。

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唾液腺腫瘍とは?悪性だとがん化することがあるの?

唾液腺腫瘍とは、唾液を作る唾液腺に発生する腫瘍のことです。良性腫瘍と悪性腫瘍のどちらの場合もありますが、良性腫瘍であってもがん化する可能性があります

唾液腺腫瘍は病理学的に多くの種類があり、診断が難しい疾病のひとつです。腫瘍は数年から十数年にかけて徐々に大きくなるものの、腫瘍以外の症状も痛みもありません。しかし、急に腫瘍が大きくなったり痛みが出てきたとき、又は顔面の一部に麻痺の症状などがみられるときは悪性化の可能性が考えられます。

子供の血管腫と唾液腺腫瘍の違いって?

幼児の場合は、幼児期に多く見られる血管腫と間違われることがありますが、血管腫は成長と共に徐々に小さくなっていきます。一方の唾液腺腫瘍の場合は小さくなることはありません。

唾液腺腫瘍ができるのは片側だけ?どんな症状があるの?

唾液腺には耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)と呼ばれる大唾液腺と、口腔内にある小唾液腺があります。唾液腺腫瘍の約80%は耳下腺と顎下腺に発生するので、唾液腺腫瘍の代表的疾患としては耳下腺腫瘍と顎下腺腫瘍の2つとなります。

主な症状は耳の下やあごのななめ下辺りに現れる腫れやしこりで、手で触るとよく動く無痛性の「こぶ」のようなものを感じることができます。通常は、こぶは片側だけに発生することが多いですが、唾液腺腫瘍の5%前後を占める比較的良性なワルチン腫瘍の場合は、両側に発生することもあります。

腫瘍が良性か悪性かを診断する方法は?何科を受診する?

腫瘍が良性か悪性か正確な診断を下すには、腫瘍の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく観察する病理検査が必要です。一般的には、超音波で腫瘍の位置や大きさを確認しながら、皮膚から腫瘍にめがけて針を刺し、吸引することによって組織を採取します。
また、そのほかにも腫瘍の性状や周辺器官への影響を評価するためにCTやMRIなどの画像検査が行われます。

これらの検査は耳鼻咽喉科で行うことができますので、唾液腺腫瘍が疑われるようなしこりがある場合は早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

唾液腺腫瘍のうち耳下腺腫瘍はおよそ80%、顎下腺腫瘍の60%は良性腫瘍です。しかし、しこりが発生してから長期間放置していた場合はがん化してしまう可能性が高くなるので、早めの診断が必要です。舌下腺や小唾液腺の腫瘍の発生率は、これらに比べるとかなり低くなります。

唾液腺腫瘍の治療法は手術が一般的なの?

唾液腺腫瘍は良性、悪性のどちらであっても、薬で治すことはできません。悪性腫瘍が疑われる場合は速やかに手術をする必要があります。良性であっても放置しておくことは将来的に悪性に変化するおそれがありますので、急ぐ必要は無いものの手術で取り除くことになります。

顎下腺腫瘍の手術

顎下腺の全摘手術となりますが、他の唾液腺があるので唾液の分泌には影響はありません。傷口も首のしわにまぎれこんでしまうため、あまり目立たなくなります。

耳下腺腫瘍の手術

耳の下から切開し、再発を防ぐため腫瘍を含む周辺の腺組織を切除します。傷口は数か月かかるものの、耳の後ろ側なのであまり目立つことはありません。

おわりに:良性の唾液腺腫瘍であっても悪性に変化するおそれがあります

唾液腺腫瘍は多くの場合は良性腫瘍ですが、将来的にがん化してしまうリスクのあります。早期と手術による切除が非常に重要なので、違和感を感じた時点で耳鼻咽喉科にて診断を受けるようにしてください。

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