非結核性抗酸菌症はどうやって治療するの?予防方法はある?

2017/11/20 記事改定日: 2019/6/4
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

仕事や日常生活の中で、土いじりやお風呂掃除などをよく行う方に注意していただきたい病気があります。それは「非結核性抗酸菌症」です。
この記事では、非結核性抗酸菌症の治療法と予防法について解説します。

非結核性抗酸菌症の治療が長期化するのはなぜ?

非結核性抗酸菌症とは、抗酸菌に感染して起こる病気です。結核菌も抗酸菌の仲間なのですが、非結核性抗酸菌症は結核菌およびらい菌以外の抗酸菌に感染したものを指します。

結核菌は人から人へ感染するのに対し、非結核性抗酸菌症は人から人への感染がないのが大きな違いです。症状は結核と似ています。咳や痰、血痰、喀血、全身倦怠感、発熱などです。一般的に症状はゆるやかです。

治療法は結核に準じて行います。結核の場合、結核菌をターゲットとした薬があるのに対し、非結核性抗酸菌症は特定の菌をターゲットにした薬がありません。
これは非結核性抗酸菌が150種類以上もあるからであり、特定の菌をターゲットとした薬がない分、結核よりも治療は長くかかります。

非結核性抗酸菌症の原因は?

非結核性抗酸菌は自然界に存在する菌で、非結核性抗酸菌症は人から人へ感染するものではありません。ただし、体力が弱っていて、免疫力が落ちているときに感染する可能性があります。

非結核性抗酸菌のうち、一番多いのが「MAC」と呼ばれるものでこれが全体の80%くらいにあたります。次に多いのがカンサシ菌です。

感染経路

非結核性抗酸菌が多いのは浴室や土壌です。浴室の掃除の際に知らず知らずのうちに吸い込んでいる、土を扱う仕事をしている人が知らず知らずのうちに感染するといったことが考えられます。

浴室掃除の関係なのかはっきりしたことはいえませんが、女性の方が男性よりも発症が多いと言われています。また、吸い込んだからといってすぐには発症しません。多くは、数年から10年以上かけてゆっくりと進行します。

非結核性抗酸菌症の症状は?

非結核性抗酸菌症は感染から数年から10年くらいかけて発症するので、自覚症状がないことが多く、検診で胸部レントゲンをとってはじめて罹患していることがわかったというケースも珍しくありません。

非結核性抗酸菌症は、もともと肺に疾患を持っている人や持病があり免疫力が落ちている人などがかかりやすく、白血病などで免疫抑制剤を飲んでいる人はとくに抵抗力が弱いので注意が必要です。

無症状で進行することの方が多いですが、咳、痰、血痰、喀血、全身倦怠感、発熱などを自覚症状として感じることもあります。

非結核性抗酸菌症であるかどうかの鑑別は、胸部レントゲン写真のほか、胸部CT、喀痰検査で行い、痰がでない人の場合は、喀痰検査のかわりに気管支鏡検査で検体を採取し、菌を調べます。

非結核性抗酸菌症はどうやって治療するの?

軽症の場合は、特に治療をせずに経過観察を行っていく過程で自然に治ることもありますが、一般的には年齢や肝機能などに合わせて抗菌薬であるクラリスロマイシンとエタンブトールやリファンピシン、ストレプトマイシンなど3~4剤の抗結核薬を併用した内服治療を行います。しかし、その治療方法はいまだ確立されておらず、治療効果にも個人差があります。

また、肺の一部が大きなダメージを受けているような場合には、その部位を切除する手術が行われることもあります。

非結核性抗酸菌症の予防法

非結核性抗酸菌は、浴室や土壌といったところに多く存在することがわかっているので、体調のよくないときに浴室の掃除や土いじりなどをしないことが予防の一つです。

なお、非結核性抗酸菌症の場合、胸部レントゲンで特徴的な影が出ることがわかっています。予防というよりは早期発見につながる行為となりますが、定期的に検診を受け、胸部レントゲン写真でチェックしておくことが大切です。

また、まれに創部から感染することもあります。カテーテルなどを使っている人は器具の衛生管理にも気を配りましょう。

おわりに:免疫力が低下している人は原因菌の多いところに近づかないようにしよう

非結核性抗酸菌は健康な人であれば悪影響を与えることはありませんが、免疫力が低下している人の場合、菌を吸引したことがきっかけで非結核性抗酸菌症を発症してしまう可能性があります。
特に体調が優れないときは、発症予防のために、原因菌が多く存在する場所に近づかないようにしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

予防(234) 原因(609) 症状(559) 非結核性抗酸菌症(3)