細菌性肺炎の症状と合併症とは?どうやって治療するの?

2017/11/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

細菌性肺炎とは、肺炎球菌やインフルエンザ菌が原因の肺炎のことで、高齢者や乳幼児、持病のある人など、免疫がうまく機能していない人が発症しやすい感染症です。この記事では、細菌性肺炎の症状や治療などのポイントをまとめているので参考にしてください。

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細菌性肺炎とは

肺炎は、肺になんらかの微生物が入り込むことで起こる炎症のことです。その原因が細菌によるものであった場合には細菌性肺炎と呼びます。原因となる細菌としては、肺炎球菌が最も多く、その次に多いのがインフルエンザ菌です。黄色ブドウ球菌や緑膿菌などが原因になることもあります。

健康な状態であれば、免疫によって細菌を退治する事ができますが、まだ未熟な乳幼児や体が衰えている高齢者、持病がある人の場合は細菌の繁殖力のほうが強くなってしまい肺炎を発症してしまいます。発症すると重症化してしまうこともあり、命を落としてしまうこともあります。

原因

細菌性肺炎は、気道を通って細菌が肺胞まで侵入する経気道感染によるものがほとんどです。また、高齢者のように体が衰えている人の場合は、誤嚥が原因となることが多いといわれています。

細菌性肺炎は、普段の生活で細菌に感染して発症しまうこともありますが、入院中に発症する院内肺炎もよく起こります。これは体が弱っているということもありますが、細菌が肺に入り込みやすくなる経路が増えるということ大きな原因です。

その他、喫煙などで気道を傷つける習慣を持っている人は免疫や細菌を排除する仕組みがうまく働かず、細菌が肺までたどり着きやすいと考えられています。

感染すると、どんな症状が出てくるのか

細菌性肺炎が発症すると、高熱や痰、体がだるい、食欲がない、といった症状が出てきて、症状が進行すると呼吸困難や意識障害なども現れます。初期症状が風邪と似ているので、混同しがちですが、風邪よりも症状が出ている期間は長く、なかなか治らないときは細菌性肺炎の可能性があります。

また高齢者や乳幼児の場合には、熱が出ずに症状が進行することもあるので注意が必要です。これは細菌が繁殖するほどに免疫力が低下していると、体が体温を上げて防御する事ができなくなるからです。

合併症

細菌性肺炎の合併症には、以下のようなものが挙げられます。

  • 呼吸状態の悪化
  • 敗血症
  • 痰が詰まることによる窒息
  • 肺膿瘍、膿胸

いずれも、非常に重篤な合併症であり命に関わることもあるため、高熱や咳など肺炎が疑われる症状が見られる場合にはなるべく早めに病院を受診して悪化する前に適切な治療を開始するようにしましょう。

細菌性肺炎の治療法

細菌性肺炎は、軽症の場合は抗菌薬の投与で原因となる細菌を退治します。脱水症状を起こしているときには、水分を補うため点滴を行なうこともあります。抗生物質は原因となる細菌に応じて種類を変えていかなければいけませんが、検査結果が出るまでに時間がかかることもあるので、抗生物質を順番に切り替えて効果が出るものを特定しなければいけない場合もあります。

重症化しやすい高齢者や乳幼児の場合には命の危険も出てきますから、入院治療が必要になることも多いです。
基本的には抗生物質と水分の点滴を行いつつ、X線(レントゲン)検査血液や痰を検査して、経過を見ていきます。順調に回復すれば1週間程度で退院することができますが、耐性菌が原因のものや合併症が起こった場合は、1ヶ月以上入院しなければいけなくなることもあります。

おわりに:細菌性肺炎になると命を落とす危険性も。風邪のような症状は放置しないようにしよう

細菌性肺炎は、早期に適切な治療を開始すれば1週間程度で改善する病気です。しかし、高齢者や子供、持病がある人や、耐性菌が原因のもの、合併症に発展した場合は治療が長期化し、死に至る可能性もゼロではありません。肺炎は風邪に似た症状から始まるので、風邪の症状が長期化している場合は念のため病院で検査してもらいましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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