記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/16 記事改定日: 2018/6/21
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
上腕骨外側上顆炎は、手首をひねるときなどに肘の外側に痛みが起こる障害です。テニスのバックハンドのときに起こるのでテニス肘と呼ばれることもあります。この記事では上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の原因について解説しています。スポーツのときや手首をひねるときに痛みがある人は、症状改善に役立ててください。
肘の外側(外側上顆)には手首を伸ばすときや反らすときに使う筋肉がついており、テニスのバックハンドストロークなどにより手首を使いすぎることで、これらの筋肉に負担がかかり痛みが発生すると考えられています。
テニスなどラケットスポーツが原因となるのは、手首の使いすぎによる疲労に加え、ボールを打ったときの衝撃が手首から肘に伝わるためです。ボールをうまく捉えることができない初心者に起こりやすいとされています。
また、加齢に伴って筋肉が衰えることも原因の一つと考えられます。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、タオルを絞るなどの手首をひねる動きや物を持ち上げる動きをするときに、肘の外側(親指側)から前腕に痛みを感じ、すでにある痛みも増悪します。
当然テニスのバックハンドストロークの動作で痛みは強くなりますが、料理やパソコン作業、大工の仕事などで手首を酷使するときにも痛みが起こることも少なくありません。
安静時には基本的に痛みはありませんが、放置して症状が進行してしまうと、安静時にも痛みを感じるようになることがあります。
テニス肘で炎症が生じる外側上顆にはいくつかの筋肉が付着していますが、この筋肉にも炎症が波及することで痛みを生じることがあります。
これらの筋肉に炎症が生じている状態のため、手関節を動かしたり、細かい手先の作業を行うことで痛みが強くなることがあるので注意が必要です。
痛みを感じたら、原因となる動作を止めることが第一です。完治するまでスポーツや手首を使う作業は控え、湿布を貼ったりサポーターを使用するなどして手首を休ませてあげてください。手首を使う前後には、肩、肘、指にかけてのストレッチを行うことも効果的とされています。
ラケットスポーツを継続して行いたい人は、トレーニングで手首の筋力を強化することも重要です。痛みがある場合は手首を休ませることが先決ですが、症状が治まってきたらダンベルなどを用いて手首のトレーニングに取り組んでみてください。
上記を行ってもまだ痛みが強い場合には、局所麻酔薬とステロイド注射によって痛みを鎮めることがあります。それでもなお改善が見られず、日常生活に支障が生じてしまう場合には、手術が必要となるケースもあります。
ほとんどの場合は上記の治療で症状は改善しますが、痛みが出始めた初期にしっかりと対処を行わないと完治まで1年近くかかってしまうこともあります。痛みを感じたらできるだけ早めに対処を行い、痛みが続く場合には近くの整形外科を受診しましょう。
診察では、問診や触診、特定の動作をして肘の部分(上腕骨外側上顆)に痛みが生じているかの確認などが行われます。X線検査(レントゲン検査)やMRIによる検査が必要となる場合もあります。
上腕骨外側上顆炎は、テニスを始めとしたラケットスポーツをしている人だけでなく、手首をよく使う仕事をしている人であれば誰にでも起こりうる可能性があります。痛みを感じたら無理をせず、手首・肘を休ませて安静にしてください。対処を後回しにするとそれだけ治療期間が延びてしまいます。痛みが長引いていると感じたら、早めに整形外科を受診しましょう。