テニス肘の特徴と対処法について

2025/10/15

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

テニス肘は、正式には上腕骨外側上顆炎といい、手首をひねる動作をしたときなどに肘の外側に痛みが起こります。スポーツ・運動をしている人に多い障害ですが、運動をしていない人にも起こる可能性があります。この記事では、テニス肘の原因・症状の特徴と対処法・治療について解説していきます。

テニス肘の原因と起こりやすい人の特徴

肘の外側(外側上顆)には、手首を伸ばす(伸展する)ときに使う筋肉がついています。テニス、ゴルフ、バドミントン、卓球などで手首を使いすぎた時、また重い物を運ぶ仕事や作業が原因で、これらの筋肉に負担がかかり痛みが発生することがあります。

テニス肘で炎症が生じる外側上顆には、以下の筋肉が重なるように付着しています。

  • 長橈側手根伸筋:手首・肘の伸展、手首の撓屈に関わる
  • 短橈側手根伸筋:手首・肘の伸展、手首の撓屈に関わる
  • 総指伸筋:指・手首の伸展、肘の伸展の補助に関わる

テニス肘の原因ははっきりわかっていない部分もありますが、この中の短橈側手根伸筋に炎症が起こることで発症すると考えられています。

テニス肘がラケットスポーツをする人に多いのは、手首の使いすぎによる疲労に加え、ボールを打ったときの衝撃が手首から肘に伝わるためといわれています。テニス肘は、ボールをうまく捉えることができない初心者に起こりやすく、加齢により筋力が低下する中年以降にも起こりやすいといわれています。

テニス肘の症状の特徴

テニス肘は、タオルを絞るなどの手首をひねる動作・物を持ち上げる動作をしたときに、肘の外側(親指側)から前腕に痛みが生じ、すでにある痛みも増悪します。テニスのバックハンドストロークなど、運動時の動作で痛みは強くなり、料理などの家事仕事・パソコン作業・大工仕事などのように、日常生活の動作でも手首を酷使した場合には痛みが起こることがあります。一般的に、安静時に痛みはありませんが、急性期や重症化したときには、安静時にも痛みが生じることがあります。

テニス肘の治療と対処法について

一般的に、テニス肘では、おもに保存療法による治療が選択されます。肘の痛みが発生した急性期のときは、まず原因となる動作を止め、安静にして回復を促すことが大切です。急性期が過ぎ、痛みがある程度治まり症状が安定するまで、運動や手首を使う動作を控えましょう。鎮痛薬・湿布薬で痛みを和らげたり、テニス肘サポーターを使用して手首を休ませることは、回復を促すことに役立ちます。医師と相談しながら、適切な方法で使用するようにしてください。

なお、テニス肘は、一度痛みが治まっても再発する可能性があります。運動・競技を継続する場合は、トレーニングで手首の筋力を強化し、肩・肘・手首・指のストレッチで柔軟性と可動域を高めましょう。ただし、トレーニングやストレッチは、急性期が過ぎ、痛みが治まってから行うようにしてください。

上記の治療を行っても痛みが緩和しない場合や悪化する場合は、局所麻酔薬・ステロイド注射などで痛みを緩和する治療が行われる可能性があります。局所麻酔薬・ステロイド注射で改善しない場合や日常生活に支障が生じるほど痛みがひどい場合には、手術が検討される場合もあります。テニス肘は、痛みが出始めた初期に適切な治療を行わないと、長期化する恐れがあります。痛みに気づいたとき、痛みが続く場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

おわりに:運動以外でもテニス肘になる場合がある。痛みが続くときは早めに受診を

テニス肘は、テニスなどのラケットスポーツをしている人だけでなく、大工仕事や家事仕事など、手首を使う動作をする人であれば、どのような人にも起こる可能性があります。痛みを感じたとき、痛みが続くときは、無理をせず手首・肘を休ませて安静にしてください。ひどい痛みがあるとき、安静にしても痛みが治まらないとき、痛みが長期化しているときは、早めに整形外科のある医療機関を受診しましょう。

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