慢性中耳炎で手術の流れは?手術が必要なのはどんなとき?

2017/11/22 記事改定日: 2019/1/22
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

慢性中耳炎は、急性中耳炎を何度も繰り返し慢性化することで発症します。
治療には薬物治療と手術療法がありますが、手術をしなければ治らないのでしょうか?
この記事では慢性中耳炎の手術について詳しく解説していきます。

慢性中耳炎の症状と合併症

慢性中耳炎は鼓膜に穴が開き、内部からの耳漏(耳だれ)などが出てきます。急性中耳炎と違い痛みがさほど強くないという特徴があるため、症状に気づかず治療が遅くなってしまうケースが多いです。
症状が進むとより危険な病状へと発展し、治療が長期化することも少なくありません。

慢性中耳炎になると

  • 耳漏(耳だれ)
  • 難聴
  • めまい
  • 耳鳴り

が主な症状として現れます。

そして慢性中耳炎が長期化すると、炎症が中耳の骨(耳小骨)にまで拡がり真珠腫性中耳炎に発展し、骨の病変が始まります。そのまま悪化が進むと耳小骨が吸収され、感音性難聴だったものが伝音性難聴に発展してしまうのです。

さらに症状が進むと、三半規管にまで影響を及ぼしひどいめまいが起こったり、顔面神経麻痺や髄膜炎を合併してしまうこともあります。

手術が必要になるのはどんな状態のとき

慢性中耳炎は、まず耳垂れに含まれる細菌を特定し、内耳と外耳の清掃と抗生物質(点耳薬)の投与で耳漏の改善を目指します。

投薬と耳の清掃だけで耳漏が改善すれば経過観察となりますが、本来自然に回復する鼓膜の穴も、慢性中耳炎の場合は塞がらないケースも多く、その場合は何度も耳漏を繰り返すことになります。

そして鼓膜に穴が開いている状態では聴力も改善することはありません。そのため、薬物治療で穴が塞がらないと判断された場合は、鼓膜形成術(鼓膜の穴をふさぐ手術)が検討されます。
また、炎症が耳小骨にまで及んでいる場合は、耳小骨の再建手術をあわせて行うことになるでしょう、。骨の変性が起こっている真珠腫性中耳炎を完治させるには、手術が必要になるケースがほとんどです。

慢性中耳炎の手術の方法

慢性中耳炎は手術で主に行われている方法には、以下の2つがあります。

鼓膜形成術

穴が開いてふさがらない鼓膜の修復を行うための手術です。
耳の後などから鼓膜を塞ぐのに必要な組織を採取しますが傷口は2㎝程度と小さく、実際の鼓膜修復は耳の穴から手術器具やカメラを挿入して行うため、身体への負担を最小限に抑えることができます。

修復用の組織を採取したら、耳の中に麻酔液を浸透させます。そして、耳の内部をきれいに洗浄した後に、採取した組織で鼓膜の穴を塞ぎ、医療用の接着剤を塗布すれば終了です。

手術時間は30分程度で、日帰りで行うことも可能です。ただし、完全に鼓膜が修復するまでには数か月の期間を要しますので、その間は水泳や激しい運動などは控え、鼻水や咳などの風邪症状がある場合は速やかに病院を受診する必要があります。

鼓室形成術

中耳や内耳、周辺組織にまで高度な炎症が広がっている場合や、真珠腫が形成されている場合に行われる手術です。

どの部位が障害されているかによって手術方法は異なりますが、耳の後ろを5~7㎝ほど切開し、炎症が生じている部位を切除し、あらかじめ採取した側頭筋膜で鼓膜を再生します。
鼓膜から伝わった音を内耳に伝える耳小骨の構造や機能が失われている場合は、採取した軟骨や人工骨で耳小骨の再生が試みられます。

手術は3~7日ほどの入院が必要になりますが、術後は聴力の回復を望めます。

手術後、再発する可能性はある?

真珠腫性中耳炎は、手術を行って病変を取り除いたり鼓膜の再生を行えば、再発は比較的少ないとされています。
しかし、可能性はゼロではありませんので、聴力の低下など目立った症状がない場合でも、術後は定期的な経過観察が必要になります。

おわりに:慢性中耳炎は手術が必要になるケースが多い。早期の治療が重要

急性中耳炎は痛みが強く出ますが、慢性中耳炎は痛みがあまりないため治療が遅れるケースも多いです。耳だれや難聴などに気づいた場合はすぐに病院を受診しましょう。薬での治療で回復する可能性もありますが、長期化したものや重度のものはほとんどのケースで手術が必要になり、治療も長期化する傾向があります。

慢性中耳炎の原因は急性中耳炎なので、急性中耳炎になったときは適切な治療できちんと完治させるようにしましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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